Mリーグで解説を務める実力者、前田直哉。
ファイナルの渦中、5月5日の第1試合で思わず身を乗り出したポイントとは?
黒沢さんのかかってるリーチ
まず気になったのは東3局2本場ですね。
黒沢さんが一通・ドラ1のペン待ちをヤミテンにしていたところから、發を暗刻にして
を切って
単騎でリーチにいった局です。
あれはちょっと「え?」と思いました。
が宣言牌で、
の筋とはいえ出づらくなるし、だったらもうペン
待ちのままヤミテンでいいんじゃないか、という感じがしたんですよね。もしくは一旦
切りヤミテンにしておいて、そのあとすぐドラの
を持ってきて![]()
待ちになるので、そこからヤミでもリーチでも、という形の方が自然だったように見えました。
実際、本人もインタビューで「間違えていっちゃった」みたいなことを言っていましたけど、まさにそんな感じで、ちょっとかかっていたようにも見えました。
結果的には中田さんがテンパイして
を宣言牌にしてくれたからアガリにつながったけれど、あれは簡単に出てくる
じゃないと思っていたので、ちょっといつもの黒沢さんっぽくなかったですね。
慎重になっていた中田
南1局、親のまりちゃんが
をポン、
もポンして![]()
テンパイ。それから
もポンして対々和にして、単騎をくるくる変えていた局ですね。
あそこは本当にメモがぐちゃぐちゃになるぐらい、待ちの枚数もいろいろあってややこしかったんだけど、そんな中で中田さんが受けつつ、ダブ
と
のシャンポンでヤミテン12000のテンパイしたけど、
が切りきれなかったのか、テンパイを取らなかった。
あれは
切って欲しかったんだよね。結構切りやすそうに見えていて、手出しも多いからかなり単騎っぽかった。だから、仮に当たりになっても
は切ってほしかったなという感じはありました。もちろん本人は、放銃して12000と言われたら、というところはあったんだろうけど、混一色も完全には否定できていなかったし、それでもやっぱり単騎っぽさはかなりあったと思うんですよね。
ただ、本人も言っていた通り、自分の
も
も打たれなかったので、結果としてはまだ助かった局でした。
スルーが実った黒沢
南4局4本場。大接戦のところ、黒沢さんラス親で
トイツ、萬子に1メンツ、筒子が![]()
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、索子は![]()
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という形。ここで
をスルーしたんですよね。あれは「これもスルーするんだ、大丈夫かな」と正直思いました。
を鳴かなかったことですぐにカン
を引き入れて、さらに
が暗刻になった。
ここからの進行は難しかったんですよね。
が暗刻ったところで
と
のくっつきのイーシャンテンなので
切るかなと思ったんだけど、ここで
切り。
を持ってきて![]()
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になって、ここはもう
切るかなと思ったら、今度は
を切る。
を切ったから「大丈夫かな?」と思ったら、まりちゃんが
をポン。そのおかげで黒沢さんが
を切るきっかけになって、そこから最高形を作っていったような感じもありました。最終的には、まさかのフリテンでもない![]()
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待ちにして、永井さんから一発で7700を打ち取った。
あそこはやっぱり、
スルーが大きかったですね。結果として門前で追いついて、しっかりアガり切ってトップを取った。黒沢さんらしいし、これが次につながるきっかけになるかもしれないなと思いました。
1pポンは微妙だった
一方で、まりちゃんは
ポンがちょっと気になりました。
七対子ドラドラ赤のイーシャンテンから、対々和一直線みたいな仕掛け。しかも手牌はかなり鳴きづらい。もちろん、本人はまっすぐアガリを見ていたんだと思うけど、あそこは鳴かない方がよかった感はありました。ただ、その
ポンが逆に黒沢さんに
を切らせるきっかけにもなったので、結果としては黒沢さんにいい展開を向けた感じもあったんですよね。そういう意味でも、いろいろあった局でした。
黒沢さんの差し込みはゾクッとした
最後の局は、黒沢さんがかなり差し込みにいっていましたね。まりちゃんが仕掛けていて、ドラの
を切って、「ああ、もう3着取りだな」と思った。
ただ、あれもくっつき次第では8000あったので、ちょっとゾクッとはしました。普段、黒沢さんってあまり差し込みをするタイプではないので、余計にそう見えたんだと思います。結果として3900で済んだから良かったけど。
全体としては、17局あって流局8回。
やっぱりこういう試合は選手も疲れるだろうし、点棒もそこまで離れていなかったので、全体に重苦しい展開でした。そんな中で、黒沢さんらしく面前で追いついて、もぎ取ったトップだったと思います。
1試合目を見ていて、やっぱりファイナル独特の緊張感はあるんだろうなと思いました。
中田さんも言っていたけれど、セミファイナルとファイナルはやっぱり違う。みんな「最後、優勝しよう」という話を絶対しているだろうし、その中で打つ一打一打は普段より重くなる。
実際、黒沢さんもかなり考えていたし、中田さんも長かったし、まりちゃんも考える時間が長かった。みんな慎重でしたね。普段よりちょっと重たい空気の中で打っていたように見えました。
その中で、やっぱり今日は黒沢さんかなと思います。
トップを取ったし、しかも着順が全部逆だったから、見ている方としてはすごく面白かった。離れていた下のチームがかなり詰まってきている中で、ここでさらに離されるときついという局面だったので、雷電としては小さいながらもこのトップは大きかったですよね。
あと、こういう時って不思議なんですけど、一人が長考すると、対局者って引っ張られるんですよね。
みんなが早いと、みんな結構早いんだけど、一人長考が入ると、そこからどんどん長くなっていく。今回はそれが結構あって、やっぱりファイナルで、一打一打がいつも以上に重くなっているんだろうなという感じはしました。
チームのために、優勝のために、という思いが強くなるぶん、1打1打に慎重さがにじんでいた。そんな1半荘だったと思います。

日本プロ麻雀連盟所属。
2015年には鳳凰位と最強位を同時戴冠し、現在もA1リーグで戦うトッププロ。
2025年からはMリーグのレギュラー解説を務めている。














