Mリーグ・藤田晋チェアマン
独占インタビュー
インタビュー:東川亮
インタビュー実施日:5月29日(金)
コロナウイルス感染症の影響で延期となっていた
「Mリーグ2019 朝日新聞ファイナルシリーズ」
が、6月15日(月)から開催されることがMリーグ機構より発表された。
セミファイナル終了からおよそ2ヵ月半、ファイナルが行われることを心待ちにしていた麻雀ファン、Mリーグファンも非常に多いと思われる。
今回はMリーグの藤田晋チェアマンに、Web会議システムを利用しての独占インタビューを実施。
Mリーグファイナル開催について、お話を伺った。(以下敬称略)
-まず、Mリーグの再開について率直な思いをお聞かせください。
藤田 比較的、良いタイミングで再開できるという印象です。
もともとMリーグは、プロ野球やJリーグなどと違い、観客を入れて行うわけではありません。その意味では2月、3月の段階では選手、関係者が健康状態に問題がなければ、パブリックビューイングは別として、延期にする必要はないと思っていました。ただコロナウイルスがどういうものか分からない時期が長く続き、さらに緊急事態宣言が発令されて、状況が変わりました。強行すればファイナルに水を差しかねないというところがあったので延期を決めた、という経緯があります。
コロナウイルス感染症の影響で、スポーツや音楽のライヴなど、世の中からさまざまな娯楽がなくなっていきました。その中で、他のスポーツに先駆けてMリーグを開催できるということで、注目度は高まりそうだという期待感があります。僕はスポーツ新聞を毎日読んでいるんですけど、本当に今はネタがなさそうなんですよね。ですからこれを機会に、Mリーグをもっと扱っていただきたいと各紙にお願いするつもりです。
-麻雀放送で言えば、5月10日に麻雀最強戦が行われ、Mリーガーも6人が出場しました。
藤田 緊急事態宣言が発令された時期はロックダウンという言葉も出て世の中が非常に神経質になっていて、少人数のスタジオ収録さえ許されない雰囲気でした。感染者数が減ってきたタイミングで、どこかが再開の口火を切らなければいけないと思っていました。それを麻雀最強戦がやってくれたのは、正直に言ってありがたかったですね。
例えば、強行開催して世の中で叩かれた場合、スポンサーがイメージの悪化を危惧して降りてしまうというリスクがあります。だからスポンサー収益で成り立っているイベントは反感を買うようなイベントは開催できないんですよね。Mリーグは、多くのスポンサー企業とチームオーナー企業に支えられて成り立っているので神経を使っています。最強戦は、サイバーエージェントもスポンサーですがそこは降りないのでご安心ください(笑)。
麻雀最強戦の中継を見ましたけど、卓の周りにアクリル板をつけたり、インタビューの時には人と人との距離をとったりするなど、しっかりと対策しているというのはアピールできていると思って見ていました。それがどこまで対策になるのかというと、そんなに必要ではないのかなとは思いましたけど(笑)。
-ファイナルを実施する際の防疫対策についてはいかがですか。たとえば、マスク着用を義務づけるとか。
藤田 ファイナルの熱い戦いに水を差す気がして、出来れば選手のマスク着用は避けたいと思ってます。細かいレギュレーションは第2波を警戒しつつこれから作るんですけど、各チームの意見を聞いて、それを尊重していくつもりです。
ただ、いわゆる「三密」の状態は絶対に避けなければいけないですし、その意味では視聴者のみなさんから見えていない、裏方の部分についてはきちんと対策をとっていくつもりです。たとえば、制作陣が密集しないようにとか、各チームの控え室にあまり人が集まらないようにするとか、ですね。あとは当然、手洗いや検温、卓の消毒などは徹底して行っていきます。
-最後に、ファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
藤田 僕も渋谷ABEMASの監督という立場で興奮状態から一気にクールダウンさせられた感があって、いつ再開するかも分からなかったので、意図していったん頭から忘れさせていたところがあるんですよね。それはファンのみなさんも同じような状態だったのではないかと思います。今回、ファイナルの日程が決まり、開催まではまだ半月くらいあるので、当時の温度感まで戻して、ファイナルを楽しんでいただければと思います。
-ちなみに、渋谷ABEMASの選手起用についてはもう決まっているんですか?
藤田 延期が決まって、白紙にしました。今回多井さん(多井隆晴選手)が本(「必勝!麻雀実戦対局問題集」)を出しましたけど、
あの本では結構守備について強く言っているじゃないですか。麻雀の戦術はブームがあって、近代麻雀が火付け役のことが多いと思うんですけど、そういうものがあると一時的にバランスを崩す人が出て来るので、ちょっとだけ多井さんのことが心配にはなりました(笑)。ベテランなので心配には及ばないとは思いますけど、その辺のことも多井さんを含めたみんなと話し合いながら、起用については決めたいと思っています。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。