「ひとまず勢いは止まったが、いつまだゴジラが活発化するかは分からない。みんな、引き続き警戒を怠るな」
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ゴジラの猛攻に圧倒されるばかりだった3者。
しかし、彼らにはまだ、やるべきことがある。
チームにプラスポイントを持ち帰ることだ。
南4局。
魚谷・内川・園田による着順争いが始まる。
まずは親番の園田がフリテン3メンチャンをツモって1300オール。
2着を現実的な射程圏内に入れた。
次局、内川がこの形から早くもをポン。
親の園田が2巡目に自風のドラ東を切っていることにスピードを感じたか、遠いところからも積極的に動き、手を進めつつプレッシャーをかける。
魚谷もポンで応戦。
こちらはアガれば2着確保だけに、とにかくスピード重視だ。
テンパイ一番乗りは魚谷。
しかしそこに園田が追いつき、リーチをかける。
アガれば2着、放銃すればラスもあり得る局面。
魚谷は力強くを押す。
さらにツモ切ったを内川がポン。
園田のアガリは自身のラスに直結するだけに、こちらも必死だ。
さらに園田のもポンしてテンパイ。
園田としても、二人の押しは苦しい。
魚谷、ツモ。
リーチの園田はもちろん、ピンズと字牌で3副露して押してきている内川にも危険過ぎる牌だ。
苦悶の表情を浮かべる魚谷。
絞り出したのは・・・
。
選択は撤退だった。
魚谷はその後も厳しい選択を迫られるもオリきり、決着つかず流局。
内川が魚谷に点数で並ぶと・・・
南4局2本場を制したのは内川。
最速テンパイを門前でツモり、2着に浮上して試合を終えた。
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「最後、着順争いを制したのは内川か」
「激しい争いでしたね」
「ただ、それでもギリギリで2着をもぎ取ったに過ぎない。データを見れば、ゴジラの圧勝という戦いだった」
「それにしても、ゴジラのアガリは全て愚形でしたね・・・。スマートなリャンメン待ちが一つもなかった」
「良形はアガるための手段であって、目的ではない。いい待ちを作るのはアガリへの近道だが、大事なのはテンパイ形よりもアガれるかどうかだ。そんなことを、まざまざと思い知らされた感じだよ」
「ゴジラ・・・またすぐ出てくるんでしょうね・・・」
「ああ、間違いないな。次の戦いが怖いよ」
「この笑顔で『怖い』ですか?」
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。