この2人は1枚も持っていなさそう。
親・茅森
茅森が1、2枚持っているかもしれないが、を切ってリーチすれば前に出た時に出るかもしれない。
そしてあらためて茅森の捨て牌を見ると、かなり早そうだ。
3~7の中張牌が余っており、普通に手を進めているとしたらほぼイーシャンテンだろう。
最悪、石橋のリーチに放銃したとしても茅森の親を落としたことになる。
本当の最悪は、この手牌をオリてしまい、茅森の反撃をみすみす許すことだ。
(ここは間違いなく踏み込むべき場面だ)
「リーチ」
勝負どころを逃さない、松ヶ瀬の感性。
そして松ヶ瀬の読みどおり、親の茅森から火の手が上がる。
待ちでテンパイ!
は2人に対して無筋だが…
「リーチ」
茅森にとっても勝負所であり、ここは引けない!
をぶった切ってのめくり合いだ!
勝つのは
松ヶ瀬か…
茅森か…
緊張感のあるめくり合いが続く。
(あの… 一応ボクもいるんですけどね)
14巡目、茅森が持ってきた牌で決着はついた。
だ!
「5200は5500」
あまりに大きすぎる放銃。
松ヶ瀬の手牌を見て、唇を噛む茅森。
これがフィニッシュブローになった。
「いつも以上にトップを取りたかった」
と語る松ヶ瀬。
取りたいと思って取れるなら苦労はしないのが麻雀なのだが、そうやって自分を追い込むことでパフォーマンスが最大になる面もあるのかもしれない。
これも、文武の道で頂点を極めた松ヶ瀬の感覚なのだろう。
この半荘、合計で9つのフーロが入ったが、アガったのは全てリーチ者だった。
アガリ確率を高めるために鳴くわけで、そう考えると不思議な現象だ。
そして一度も副露しなかった松ヶ瀬がトップになったのもまた面白い。
それだけ手に恵まれたとも言えるが、今年最後の日に門前有利のまま終わったのはいかにもMリーグらしいな… と感じる。
その中でも運命に抗い続ける石橋の姿(4局、遠い仕掛けをしていた)が印象的だった。
1/3(火)ほとんど休みのないまま、Mリーグは再開する。
突然の寒さに体調を崩すことのないよう、私も選手も読者のみなさんも元気に新年を迎えられることを祈って、今年最後の観戦記の筆を置くことにしよう。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」