【決勝卓】担当記者:まるさん 2025年8月16日(土)
麻雀最強戦「政権抗争勃発」決勝。
12月に行われる麻雀最強戦ファイナル16名の内の一つの椅子を争うこの対局の麻雀プロを紹介したい。

東家、内川幸太郎プロ(日本プロ麻雀連盟)
最近では世界大会で優勝したのはまだ記憶に新しく、決勝前のB卓では去年のファイナル出場者の阿久津翔太プロをオーラスで捲り決勝進出を決めた。

南家、滝沢和典プロ(日本プロ麻雀連盟)
言わずとしれたKONAMI麻雀格闘倶楽部のMリーガー、決勝前のA卓では絶妙な押し引きを魅せてくれたが、本人はインタビューで「結果的には良かったが、もっと積極的に行くべきだったかもしれない」と語っており、筆者は滝沢の決勝に向けての静かな意気込みを感じた。
自身三度目となる麻雀最強戦という大舞台。手役を狙った面前での手組に定評あり。三度目の正直となるか。
A卓で決勝進出を決めた後のインタビューで、「次のチャンスがいつ来るかわからないので、絶対に勝ちたいです」と語っており、副露を多用する超攻撃型のスタイルが持ち味。普段は一発裏のない競技ルールしかやらないらしく、裏ドラを捲りなれていないという一面も。
事前に行われた「麻雀最強戦【政権抗争勃発】誰が勝つと思いますか?」という麻雀最強戦アカウントのXでのアンケートでは、内川と滝沢の二人と、中出と喜多の二人との間には大きな差があったが、A卓B卓それぞれトップ通過をしたのは中出と喜多であり良い意味で前評判を覆してくれたと思う。知名度や人気は麻雀プロとして参加できるタイトル戦の回数等の面で大きなアドバンテージにはなるが、卓上での戦いは常に平等だ。
東1局
滝沢が中盤に役なしノミ手1300を取りダマにし、変化を狙う。ドラのを持ってくれば456の三色、筒子が変化してリャンメンテンパイや
とのシャンポン待ちになれば立直に行く構えと思われる。

滝沢は狙い通りドラのを引き入れ、5200のダマテンに構える。
は山ゼロだが中出が仕掛けをしている喜多の現物の
を切りそうな局面が何度もあったが親の内川が1500のテンパイを入れた後に切る事になり、内川と滝沢のロン発声をするも内川の頭ハネ、

続く2本場で12000は12600と軽快にアガリ、トップに躍り出る。
もう一度親番で大きなアガリが出れば内川のトップは東1局にしてかなり濃厚になりそうだ。
東1局3本場。
ここで待ったをかけたのが、本来は四人の中で一番腰が重そうな滝沢。
遠い手牌から筒子を仕掛け、三副露してテンパイにこぎつける。
喜多も積極的に仕掛け、満貫のテンパイを入れる。
親の内川は、滝沢と喜多の副露に挟まれ、筒子が切りきれず降り。
滝沢はまたもアガれず。
東2局、ドラ。

親の滝沢の手が良く、6巡目でイーシャンテンとなる。
しかしここから筒子と萬子にくっつかず、

滝沢がテンパイせぬまま内川が打でフリテン
先制立直を放つ。
滝沢はをチーし、ドラの
をを静かに切った。
筆者が生配信で観ている時は心なしか少し力が入っているように見えたが決勝前のインタビュー通り、積極的にアガリに向かうという滝沢の「意志」が画面越しに伝わってくるようだった。


リーチの喜多からが出て、滝沢が待望のアガリをもぎ取る。
点数は安いが、内川のアガリを蹴る大きなアガリだ。
──そして次局、滝沢にとてつもない配牌が舞い降りる。
東2局1本場
滝沢が配牌で国士無双のリャンシャンテン、3巡目にをツモりイーシャンテン。
あれよあれよと有効牌を引き、4巡目に山に4枚残りの国士無双待ちテンパイ。
しかも中出と喜多は掴めばノータイムで切る牌だ。
テンパイしてからは長かったが、真っ直ぐアガリに向かう喜多が切ったに滝沢は静かに手を開いた。余りにも大きすぎる48000点の和了、
内川の顔が思わず歪む。
滝沢が圧倒的に優位に立つが、内川、中出、喜多は三名とも勝負が終わるまでは決してこの戦いを諦めてはいなかった。