ビタ止めは
自慢にならない
最近の麻雀本は、テーマを細分化した物が多く出ており、読者の専門的な要望に対応しています。
●フリー雀荘で得するのはどっち?(石井一馬)
●統計で勝つ麻雀(福地誠・みーにん)
●1秒で見抜くヤバい麻雀心理術(鈴木優)
●現代麻雀押し引きの教科書(福地誠)
●麻雀基本形80(福地誠)
敬称略。
かつては麻雀業界のスタープレイヤーが、包括的な必勝本を出すことが多かったんですが、読者のレベルアップと多様化があります。
「どの本も似たようなもの」
「この分野をもっと詳しく」
とかね。
これは書き手にもあるようで、ある大ベテランの麻雀プロは、「私が出版するなら、千ページくらいの分厚いのを出したい」と言ってました。
そうでないと書きたい事を書ききれないと。
さて私はフリー雀荘を経営しており、従業員に教えるために、上記どの本を採用しているでしょう?
ちなみにゲーム代不要、勝敗はすべて店負担です。
フリーという単語に惑わされる人はいませんよね。
もっと細分化が必要で、正解は基本形80。
かつても「テンパイ一点読み」という細分化された記事や、それに近い単行本はありましたが、さすがに一点読みは無理すぎです。
小島武夫プロいわく。
「入り目があるから、せいぜい2点だろうね」
小島プロの古典「負けない麻雀」や井出洋介プロの「東大式麻雀シリーズ」は、長きに渡って読者に支持され続けています。
包括的なベストセラーから細分化専門化本にいくのが効果的かも。
私のように毎日打っていると、ごくまれに当たり牌をビタ止めしてテンパイすることがあります。
「お、さすがですね」
と笑いながら言われたりもしますが、フリー雀荘の常連さんなら、半分冗談のようなもの。
本来なら、勝負形になった時にビタ止め牌もしくはそのスジで放銃すべきだったと。
もちろん通ることがはるかに多いですよ。
結果と関係無くもう一つ、あるいはさらに複数のストーリーをシミュレーションしましょう。
「裏スジでアンコスジで、ドラ表示牌でも切れ!」
若い頃こんな記事を書いて不評を買いましたが、統計的にはそんなに的外れでも無いと思います。
店の中堅クルーのトレーニングに今欲しいのは、鳴き効率本です。
リーチ宣言牌で振り込め
リーチ宣言牌を撃ち取れ
リアルな実戦でマスターしにくいのは、自分と違う打ちスジの専門技術やかけ引きです。
例えばメンゼン派と鳴き派、リーチ派とダマ派。
バットの大振りと小振り派などに分けられるかもしれません。
それぞれが自分の打ちスジ流派に自信と愛着を持っており、それが強みにもなり、目を曇らせることにもなりがちです。
強みは本人の経験と技術の高さの他に、プラセボ的な効果も。
例えばメンゼン派で即リー派で大振り派の場合。
周りが仕掛けて親が流れそうでも、親のリーチの強さに自信があるので、子につられて鳴いて連チャンはしない。
ファン牌トイツの1シャンテンでドラ1あれば、2鳴きもしない。
親落ちしても、安い連チャンよりもマシだと。
いつもこの流儀だと鳴きの機会が少なく、技術が育ちません。
「そんな麻雀打ちたくない」
「麻雀はリーヅモでナンボ」
が流儀ですからね。
もちろんメンゼン派と鳴き派に綺麗に別れるワケじゃなくて、多くの麻雀打ちが「自分はバランスがいい」と思っています。
先にメンゼン・ドラ1・完全1シャンテン(20枚受け)と書きましたが、ドラや受け入れ枚数、残り局数・残り巡目、さらに順位が変わればまったく違う。
自分のその時の選択がバランスがいい行動、つまり自分にとっての正解になります。
最近の麻雀業界はネット麻雀の普及と麻雀動画の配信で、自分と違う打ちスジの人のデータと技術が学べる点が素晴らしい。
当たり牌を含む様々な読みの精度も、かつてに比べると格段に高くなっているでしょう。
推定になのは、自分よりレベルの高い人の脳内は分からないから。
身長に高低差のある人達が全員頭頂部を輪切りにしてるみたいに。
オンライン麻雀天鳳で、ユーザ300万人の頂点を2回も極めたASAPINさんは、リアルでも強いことが証明されています。
●超精緻麻雀―多角的思考による盤面把握(ASAPIN)の人気が高いのは当然です。
麻雀の巨人が輪切りの頭でお辞儀してくれるんですから。