【 #神域リーグ 第9節第27試合 観戦記】傾奇者よ高らかに笑え 漢歌衣メイカの魂よ 全ての麻雀を愛する人へ届け 【文 #後藤哲冶 】

トップを取る……とは言っていたが、どこかで折り合いをつけなければいけない。
「漢気」「無謀」は違う。現状チームは首位で、自分ができる最善は、現在チーム2位につけているゼウスにトップを取らせないこと。

歌衣が、チームのために選ぶ最善の選択。
「漢気」は、「漢」へ。チームのための「漢」へ。
歌衣は進化し続けている。
麻雀を、より深く楽しんでいる。

結局、この局は歌衣への放銃もできなくなったたろうが安牌に窮して松本へ12000の放銃。
この結果は、歌衣からすれば悪くない。いや、むしろ狙い通りとすら言えるだろう。
ゼウスが、自分の位置まで落ちてきてくれた。
あとは、自分がゼウスを、たろうを捲るだけ。

松本の勢いは止まらない。因幡から受け取ったバトンを、力強く握りしめてトップへと走り抜ける。
まだ足りない。チームの勝利のためには、まだ。

2着へ上がれるテンパイを入れていた多井から、【5マン】の出アガリ。
これで多井は着順アップが絶望的になってしまった。
この日の多井は、筆舌に尽くしがたいほど運に見放されている。

南4局4本場に入る。

歌衣は2着まで2300点。4本場のことを考えればほぼアガれば2着。

8巡目、【西】が槓子に。
打点面はリーチのみでも足りるので問題ないが、1回でも多くツモ番が欲しいと思えばカンはありだ。
後にこのシーンを打点が足りないと思っていたと少し恥ずかしそうに語っていた歌衣だったが、このカンの選択自体はありだと思う。

12巡目。待望のテンパイ。
待ちは決して良くはない。が、臆することは無い。
トップは取れなくなった。けれど、チームのためにできることは。

歌衣が小さく呟いた。
「行こう」と。

小さく己を鼓舞した後に、リーチ宣言。
運命を、この局の結末を、カン【2ピン】託した。

一方こちらも負けられないたろうがリーチ。
たろうほどの強者が状況を理解していないはずもない。
ゼウスが優勝するためには、ここで歌衣に上をいかれるわけにはいかないから。
当然のリーチ選択。

これに全く動じない歌衣。

「さあ勝負っす、たろうさん。……めくりあいしようぜ」

この極限の状態で。強者3人に囲まれた状況でも尚。

……歌衣メイカは心から、この真剣勝負を楽しんでいた。

 

 

 

激戦の第27試合は以下の結果になった。

松本が因幡から受け取った信頼のバトンを見事トップで走り切る素晴らしい活躍。
ヘラクレスが大きく点数を伸ばした。

逆にアキレス多井はなんとこの日3連ラス。
最速最強でも、こんなことになってしまう日があるというのが、麻雀の恐ろしさを物語っている。

チームポイントランキングは以下のようになった。
このスコアで、第10節、最終日を迎える。

最終日は同ランク同士の対決になっており、普段とは違い同時ほぼ同時スタートとなるので視聴者の方々は注意してほしい。

さて、この第27試合。
注目を集めたのはまたしてもプロ3人に囲まれた歌衣だった。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \ほぼ毎日4コマ最新⑤巻 好評発売中/