二人の間のベルトコンベア〜松本吉弘の悲劇、そして内川幸太郎の快勝劇【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/14 第1試合（麻雀チャンネル）】担当記者 千嶋辰治

ただ、このチーが浅見のテンパイを誘発した。

内川の高めであるを握りつぶし、ドラ表示のカンを即リーチ。

愚形をいとわず、けれん味なくリーチ棒を河へ放った浅見だったが、

自身のチーにより、内川のロン牌が流れてきた松本。
内川のツモアガリを見事に防いだのは良かったのだが… このを小考の末に切り出して内川のアガリ。

リーチドラ赤2の8,000点が松本から内川へ。

そして、松本にとっては悪夢の、そして内川にとっては嬉しい「ベルトコンベア」がゆっくりと動き出す。

 

東2局。
中盤、内川から先制リーチが放たれた。

ここで全体牌譜を見ていただきたい。

内川、このリーチは手応え抜群だっただろう。
なぜなら、浅見、逢川の二人の河にが早い。
ということは、二人にが持たれていない可能性が高いからだ。

全員の手牌を開いてみるが、内川の見立てどおりは二人の手… いや、松本の手にも見当たらない！
4枚ともまるまる山に生きている。

と、ここで鈍い音を立てながらベルトコンベアが作動する。

攻める気満々の松本、パンパンの手格好にやってきたのは噂の。

攻めると決めた漢、松本。
この手をもらって現物のを抜くような弱気な手は打たない！

リーチ一発赤の5,200。
2連続放銃となった松本。ナイトメア（悪夢）は続く。

 

東4局。ドラは。

ドラ3赤のテンパイを入れていた松本。
内川、そして逢川からリーチの火の手が上がり、失地回復のために前に出ると内川のリーチに捉えられた。

リーチドラの3,900でこのゲーム内川へ3回目の放銃。

しかし、まだこれで終わりではない。
1局挟んで南1局。

4メンツが完成し、雀頭探しの旅を続けていた内川。
のいわゆるノベタン形に変化したところでリーチとした。

全体牌譜をご覧いただくとお分かりいただけると思うが、場にマンズが安い上に内川の目から見てが4枚見えている。
待ちは絶好と言えるだろう。

そして、ベルトコンベアは加速していく。

箱を400点割っている松本。
最後の親番であるこの局を逃すと絶体絶命。
進退極まった手牌へ、無情にもがスジで送り込まれる。

リーチドラで2,600点と大きな失点とはならなかったが、

この日4度目となる内川への放銃は松本のメンタルを削るには十分なものだっただろう。
がっくりとうな垂れる松本。
その姿が大昔に先輩に倒され続けていた自分の姿に重なり、私は少しだけ胸が苦しくなった。