赤字が半年で
一千万円突破
コロナによる3店舗の赤字が、3月4月と毎月300万円。
5月6月が200万円ずつ。
6月に高田馬場店を閉店して、7月8月は100万円くらいに減ってますが、合計で一千万円を超えてしまいました。
ヤダなあもう。
私は7月頃には収束するだろうと思ってたけど甘かった。
どうやらインフルエンザのようにはいかないみたい。
亡くなった方のことを考えると、幸いなことにと言うのは不謹慎かもしれませんが、恐れていたほどのや死者は出ていません。
最近よく聞くのは、
「自分の周りでも感染者が出た」「でも交通事故で死ぬより難しいらしいよ」など。
それでも交通事故は起こるんだから、気をつけるには越した事はありません。
自粛開始当初から市民の協力には感心しました。
2か月間、自宅に籠っている時に都内のライブカメラを見てたんですが、見事に人がいない。
宅配のUber Eatsが目立つくらい。
世界一のターミナル駅と言われる新宿や渋谷のスクランブル交差点がガラガラなんです。
これだけみんなが協力すれば、意外と収束は早いのかもと期待。
東京の感染者数がゼロに近づいていた時もありましたが、また何十倍にも増えてる。
でも死者はそれほどでも無いので、街の人出は回復しつつあります。
ただし、元のように戻るのはかなり難しそう。
外国人観光客はほぼいなくなったし、在宅ワークが増えて、電車もまだまだ空いてますからね。
麻雀たぬも、お客さんも戻りはせいぜい70%くらい。
それも閉店した高田馬場店から他店に来てくれてるからの数字で、それが無かったらもっと悲惨。
ホント助かってます。
高田馬場店閉店で赤字が減ったと書きましたが、内実はけっこう厳しいです。
赤字は損益計算で表される数字で、貸借対照表上の資産とは別物なんです。
閉店倒産は、店の消滅と同時に資産の消滅でもある。
たとえば麻雀卓は1台何十万かするので10台なら何百万円の資産。
その他の、内装外装什器備品一切がほぼ無になる。
東京で雀荘を作ると、上記の他に保証金が数百万円など、一千万円以上かかると思います。
貸借対照表上の資産一千万円がパー。
損益計算上一千万円がチョキ、じゃなくてワヤでんがな。
「それで良くツブれないね」
とお思いかもしれませんが、今にもツブれそうな不安だらけです。
今のところ、何とか持ちこたえているのは資金繰りが綱渡り的に維持できてるから。
損益計算書、貸借対照表、資金繰り表を纏めて財務三表と言うそうですが、ツブれる瞬間は主に資金繰りにかかってるんです。
官僚の天下り先とも言われる特殊法人などは、売り上げや経費のバランスでは無く、予算で成り立っているので倒産とは無関係。
大企業の子会社も、ミッション達成のためには資金繰りの面倒を見てくれるので生き延びられる。
その点、民間の中小零細は厳しいです。
50年来の麻雀仲間の銀行マンによると、コロナで返済が滞っている取り引きさが増えて、貸し付けもほぼ無くなっているそうです。
ちなみにコロナ関係の行政による無金利融資も、貸付実績はかなり低調だとか。
コロナ初期の予測ではGDPが20%くらい下がりそうでしたが、すでに30%を超えてるのでは、と言う観測もある。
厳しくても頑張るしかありません。
二千万円の資産が
消滅したけど?
ギャル雀の元祖ポリエステル100%の成功を真似して作ったのが、高田馬場の麻雀たぬでした。
西原理恵子さんはキャバ雀て呼んでましたけど。
経営者の河本智彦さんは、元白夜書房の私と西原理恵子さんの担当だったので、色々教えてくれました。
当時の女子スタッフで麻雀プロになった人も多いです。
当初5卓で始めた開店資金は、一千万円。
その後徐々に卓を増やして15卓に増殖、使用する資金も比例して増えます。
これらの他に借金も含めて、使用資本と言うんですが、それが大きくなればなるほど、リスクが増大しリターンもがっちょりと言うワケにはいきません。
拡大再生産路線に乗る閾値(いきち・しきいち)を突破して、全国チェーンになる会社もあれば、逆に規模拡大に反比例して、資産の回転率や利益率が下がる所もある。
たぬはもちろん後者です。エヘン!
なので、生物や組織の原始ミッションである生き残りのためは、規模縮小は良くあること。
高校時代の友人は弁当店を20軒くらい作って40年後1軒です。
同郷高知出身の24時間営業のラーメン屋さんはブレイクスルーし、150店の上場企業です。
この社長、ラーメン屋の1号店を作ったのは30歳前。
1店舗で年間一億円のお小遣いを稼ぎました。
現在そんな役員報酬は得ていません。
どちらの道も、人それぞれの楽しみがあると思います。
今みなさんの中にはコロナなどで、私のように苦労している方がいるかもしれません。
それがもしお金なら、第一段階で踏みとどまってください。
自宅や店の家賃が払えない場合は大家さんに頭を下げる。
むかしの高金利の時代に、私は金融機関に10回以上頭を下げて金利を50万円安くして貰った事があります。
1ペコリ5万円ですよ。
どうしても借金が必要なら、補助金の他に国民金融公庫など、元はあなたの税金で運営されてる所を利用しましょう。
私は二千万円の資産が消えたけど、資金繰りが続いている内に、黒字に復帰できれば上等。
財務の書類や不動産契約書の数字が変わるだけですからね。
(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2020年10月号)
●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/
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