12月12日の黒卓は、下石戟が連闘・連勝。
彼の内容を褒めつつ、古久根がどうしても気になったシーンを斬る!
12月12日 黒卓 第1試合
■元太の第1打ドラ
切りは論外
南1局1本場に瑞原さんが倍満をアガったんですけど、1巡目に竹内さんがドラの
を切ったんですね。手牌は4シャンテンでリャンメンもひとつだけ、とてもアガれそうな手ではないんですけど、ここからドラを切ったのはちょっとひどい、私に言わせれば論外です。早く切れば鳴かれにくいということはありますけど、鳴かれたときに自分の手牌が見合わないのであれば、切らないほうがいいです。
字牌のドラは慎重に扱わないと、たまにこういうことになります。もちろん、いつまでも切らないかというとそうではないですけど、切るときは手牌に見合ったところからでないと、こういうことになりますね。「今の内」で切るのでなければおそらくテンパイか1シャンテンまで切らなかったと思いますけど、そこで切ってポンテンが入ったとしても、そこまでたいした問題にはなりにくいと思います。さすがに4シャンテンで切るのはやっていない、これは悪手だったと思います。
竹内さんはドラの見切りが早いですけど、ピントが合っているときと早すぎるときでは、早すぎることのほうが多いと思います。ポンをされないという見立てで切るならいいですが、ポンされるかもしれないときは切らないほうがいいでしょうね。今回は北家の
でしたけど、北家に鳴かれなくても、他の人に鳴かれることがMリーグでは結構あると思います。バック仕掛けやトイトイ仕掛け、チャンタ仕掛けとか、全部含まれるので。この場では、合わない気がします。
■瑞原には
以外に切れる牌があった
オーラスは、振り込んだ瑞原さんに選択がなかったのかな、というのがポイントだと思います。下石さんが中をポンして![]()
![]()
から
切り、
をポンして
切り、それでペン
待ちになりました。これに対して瑞原さんが手詰まって
で振り込んじゃうんですけど、これも悪手ですね。
なぜかというと、ポン出し
は待ちに関連しないことが多いんですよ。その周辺に雀頭があることが多くて、待ちは他に飛ぶんです。マンズは分からない感じで、1シャンテンで切ったのが
なので、待ちは
に関連していることのほうが多いです。これが2シャンテンで切った
だと関連していないことが多いんですけど。
なので読む手順として、危ないのは
のまたぎとカン
。
が関連しているときのパターンは![]()
か![]()
かカン
の3種類で、ピンズのほうはポンして
なので、その周辺が雀頭とするなら、全然関連していない
とか
とかは安全なんです。ですからそのどっちかじゃないですかね、切るのは。
読む手順って、基本的には捨て牌にメカニズムがあるかないかで考えるだけなんです。この場合は1シャンテンで切った牌が関連している可能性が高いからソーズは基本的に切らないけど、ソーズでも
は関連していないから、ほとんど当たり牌にならないんですよね。
はたまにリャンメンになっていることもあるから少しだけ危ないかもしれないとすると、
が一番良かった気がします。
12月12日 黒卓 第2試合
■小林のドラ切り、カンチャンリーチ・・・もっと大事に打たないと
2戦目は東2局が面白かったですね。親の下石さん、この手で第1打が
なんですよ。親なので、チャンス手とは言えますけど、難しい手牌なんです。チートイツを普通に見ると2シャンテン、ですけど簡単にいく手牌ではないので、どう打つかが腕の見せ所と思っていました。そうしたらいきなり
ポンだったので、ちょっと驚きました。
をポンして
切りは、門前でチートイツをやるか、トイトイかチャンタを見たんだと思うんですけど、ピンズのホンイツに見せた捨て牌を作っていったんだと思います。
ここで5巡目くらいに小林さんがドラの
を切ったんですけど、これはちょっと理解できないですね。手牌があまりよくない2シャンテンなので、切るのは相当おかしいんです。これはさっきの竹内さんの
とは違って、もう鳴かれそうではあるんです。すでに
が余っているように見えるので、そこにドラの
を切る理由が見つからない。しかも下石さんは親なので、なんでこれを切ったのかは分からないですね。ポンされなければいいんでしょうけど、ポンされる可能性は竹内さんのケースよりもはるかに高いので。
これ、鳴かれないと思って切っているんじゃないかと思うんですよ。ドラの
をトイツで、
のポンから入らないだろう、という読みですかね。これも完全に悪手ですよね、ポンされちゃったらね。
ポンなので、たとえば中張牌のポンなら翻牌のバックとかになるので、鳴かれにくいと思って切る場合はありますけど。
それと、東4局。これも小林さんなんですけど、4巡目にカン
待ちでリーチ、これもないです。アガれる根拠がゼロですよね。これがカン
、カン
とかの待ちならありだと思いますけど、これは
を切ってダマテンがいいと思います。試合はここまで小場で、下石さんがちょっとだけ抜けていますけど、まだ全員にトップのチャンスがあるような展開なので、こういうところを大事に打たないとダメかなと思います。
■下石の完成度はすごく高い
この局は下石さんがカン
でチーテンを取って、![]()
待ちでアガりました。これは自然な形ですけど、下石さんは粘り強いですよね、なかなか簡単に抜かないんですよ。ギリギリ1シャンテンくらいを維持する力を持っているので、こういうアガリにつながるんですね。こういうのが大きいです。
下石さんはこの試合で連闘していて、2連続で出てくる選手は他にもたくさんいますけど、ほとんど2戦目ってダメなんです。それはなぜかというと、たぶん、集中力が切れるんです。2戦目に入るまでにインタビューを受けたりインターバルがあったりとかで、集中が切れた状態で2戦目に入っちゃうからなんだと思います。そこでだいぶパフォーマンスが落ちますけど、そういう意味では下石さんはずっと集中力を維持していたみたいに見えました。
下石さんは完璧でした。緩急も完全にできていて、配牌からやめるような局もいくつかありました。ダメな局は完全に捨てているので、甘い牌は一切出ないですね。なかなかこうは打てない、完成度がすごく高いです。全局参加型の人も結構いるじゃないですか、何とかしようという。その辺がゼロですね。ゼロっていう人は珍しいです。普通はギリギリのラインを探しますけど、たぶん、それはないと思っているんだと思います。相当すごいですね。

麻将連合所属。
かつて所属した最高位戦日本プロ麻雀協会では最高位を3度獲得するなど活躍。
RMU設立への参画を経て、2010年からフリープロとして対局解説や後進育成などをメインに活動する。
2025年、麻将連合に入会し15年ぶりにプロ業界に復帰、2026年1月より認定プロとなる。














