「俺らの間には常に卓と…無機質な麻雀牌があったよな」
さらにをツモってくる沢崎。
チーに続き、発をポンしている前原の危険牌だ。
さらに他にもドラが浮いている。
沢崎は一息ついた。
「俺らの間にあるものはずっと変わらない」
「だけど後ろに見えるものは大きく変わったよな」
沢崎は力強く
を切った。
そのを前原がチーして応戦!
「沢崎さん、たしかに麻雀しかなかった私達を、こんなに応援してくれる人がいることは、幸せ以外の何物でもないです」
「いつまでもこの舞台に立っているとは思えない。だからこそ私は今、全力を尽くしたいんです」
こうして沢崎は
カンをツモって理想のテンパイにたどり着いた。
ドラのはどの方向から見ても危険牌だが、沢崎に迷いはなかった。
「リーチ!」
「当たりか?前ちゃん」
「…通ります」
すぐにテンパイの入った和久津からがこぼれて決着した。
メンタンピン一発ドラドラの12000!
こうして沢崎がトップを決めた…
かのようにみえた。
南4局。
まずは和久津が素点回復を狙うリーチを打つ。
789の三色であるカン待ち。
出たリーチ棒を見て、色めきだったのが瀬戸熊だ。
瀬戸熊はこのリーチ棒によってマンガンツモでトップになるのだ。
その瀬戸熊に注文通りのメンピンドラドラが入る!当然の追っかけリーチ!
2軒リーチを受けた前原の手牌。↓
前原はハネツモでトップになる。ただし浮いているとは2人に危険牌だ。
さらに瀬戸熊が和久津に放銃すれば2着を拾うことができるかもしれない。
薄いハネツモを目指して我が道を突き進んでよいものか…
前原は迷った。
そして
を切った。
たしかに瀬戸熊が和久津に放銃すれば2着になるが、その現象は1/4でしか起こらない。
(ざっくりとした計算になるが、2人の待ちが五分として、瀬戸熊ツモ・ロン 和久津ツモ・ロンの4通りのパターンがあるので)
それならば自分で運命をこじ開けようと突き進んだのだ。
2巡後、さらに前原を困らせるツモがくる。
だ。
「沢崎さん、やっぱり麻雀は思ったようにいかないですね。だからこそ…どれだけ打っても…」
「面白いですね」
前原は牌を横に曲げた。