Mリーグ特製鍋をご賞味あれ
文・小林正和【金曜担当ライター】2024年11月8日
立冬を迎えた今週末、浜松町にも冬の冷気が漂い始めていた。
(今日みたいな寒い日は熱々の鍋を囲みながら、ゆったりと観戦に限るよね。)
と、贅沢なひとときを考えながらも、いつもと変わらぬ夕飯を取りながらMリーグ視聴へ。
ちなみに今日のおかずは、帰宅途中で購入した半額の唐揚げ4個。少し物足りない印象である。
しかし、その微かな不安はスッと消えてなくなっていた。
画面越しの静かなスタジオ内は、牌に込められた情熱によってグツグツと煮え立つ。熱々のMリーグ特製鍋という最高の一品をプラスしてくれたからだ。。
そんな各選手の異なったスタイルが一つの具材として絶妙に絡み合った一戦を振り返っていこう。
第1試合
東家:小林剛(U-NEXT Pirates)
南家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:浅井堂岐(セガサミーフェニックス)
北家:二階堂亜樹(EX風林火山)
打ち手の個性によって、第一打目から選択が分岐していくのも麻雀の面白い側面。
例えば東1局
親番・小林の配牌。
うっすらチャンタや下の三色など仕上がれば大物手も見えるが…
選んだ牌は
ソウズで新たなターツを作るよりもやの重なりに比重を置いた一打である。
現時点で34%という全体2位の副露率が物語るように、とにかく打点よりも仕掛けメインの手組みで素早くアガリをものにする小林。
具材に例えるなら、素早くスープのだしを吸収し、全体に香りを添える“キノコ類”と言った所だろう。
一方で、北家・亜樹の配牌はと言うと
こちらはドラドラの手。ハッキリとした打点が伴っている。
しかし、ターツ候補が足りておらずスピード感があるとは言えない。そこで、鳴いてタンヤオルートや役牌という特急券を手に入れる為にやに手が掛かると思われたが…
手に取ったのは
鳴きベースよりもシュンツの受け入れを広げ、リーチ手順を踏む選択肢であった。
アガリには結び付かなかったが
しっかりとやをメンツとして捉えて、攻勢に転じていたのである。
速度の劣りを打点でカバーする亜樹。
ここまで7試合に登板しトップ1回と勝ちきれない場面も多い中、4着も1回と負けないバランスも保っている。
正に深みや味わいをもたらす“だしの効いたスープ”を担っているとも言えよう。
こうした二人の相反する立ち上がりとなった第一試合。それとは反対に、ある共通点も存在していた。
・小林:4.62%
・亜樹:7.23%
皆さん、何の数字かお分かりだろうか。
これは、今シーズンそれぞれの放銃率(平均は11%程度)を示している。また亜樹はリーチ時の放銃率が15%(平均は10%程度)と比較的高い点を考慮すると、ほとんど小林とは変わらないとも言えよう。
どちらとも低い数字なのだが、これは偶然!? なのだろうか。いや、そうとも限らないのだ。
こちらの手牌をご覧頂きたい。
東3局
西家・小林は少しばかり場に目を向けると、ここからを選んだ。