本来ならソウズ2メンツ候補としてを手の内に留めて置いておきたいが、第一打目にダブを切っている亜樹がカン払い。それも→と引きによる変化も拒否している切り順。
また親の堂岐がカンターツ落としと、こちらにも不穏な空気が流れている。
小林は全体図を見渡すと“豆腐”のようにツルッとを手放したのであった。
その読みの精度は恐るべし
亜樹には受けがあり
くっつきイーシャンテンの堂岐にもがジャストミートする可能性を有していた。
こういった相手との距離感を測りながらスリムに構える打牌は何も小林だけではない。
亜樹にも似た状況が多く存在していた。
例えば東3局1本場
ドラも内蔵されていて、リャンメンターツも豊富な手牌。
確かに形は良いが、今やっと1メンツが完成した所で先手が取れている訳ではない。こうした判断材料もあっただろう、“白菜”のようにアッサリとおさらばする。
このタイミングが秀逸で、数巡後に訪れた
小林への高め8,000放銃回避に繋がっていた。
こうして、だしの効いたスープに野菜と豆腐の旨みを吸い込んだキノコが卓上に香りを添えると、つい欲しくなるのがピリッとした“辛味”… である。
と、その時であった。
「マッスル ツモやww」
「筋肉一発やで!」
と突如としてコメント欄が良い意味で荒れ始めたのである。
東3局
堂岐
リーチ・一発・ツモ・一気通貫
4,000オール
それは、スープが味変したかのような“チゲ味噌”で三者を大きく引き離すピリッとしたツモアガリであった。
続くようにコメント欄では
「これが筋肉ツモかよ!」
「ついてんなーww」
といった少しアンチめいた言葉が目立ったので補足すると
ファースト・テンパイは5巡目のこの牌姿。
一手で高くなる変化が少ないのと、親の特権を駆使して先制リーチも有効である。
しかし、
堂岐
「高い手が好きですね。また終盤に押し返せる手組みが自分の特徴かなと。」
あるインタビューでそう語っていたように、言葉通りの有言実行。
→とテンパイ外しからの見事に高い手に仕上げていた。
更に、堂岐の特徴についてもう一つ追加するならば
“リーチに押し返す力”を挙げたいと思う。
東2局
親の瀬戸熊のリーチに対してドラのを勝負すると、こちらも筋肉一発ツモ!?による満貫のツモアガリとなった1コマ。
確かにすぐにテンパイするので、大半の人は同じ結果となっていたが注目ポイントはそこではない。
自身の配信にて
堂岐
「ドラとか関係ないですね。テンパイしない無筋を持ってきてもしばらくは押しますよ。チーテンのドラ打ちも考えてましたし。」
“13%”
この数字は今シーズンの堂岐の放銃率である。
もちろん平均値よりも高いのだが、近藤監督も想定範囲内と考えているだろう。
Mリーグ・ルールはトップの価値が他と比べて極端に大きく、トップ率を上げる為には放銃のリスクは付きもの。この攻め返しこそ、最大の武器に他ならない。
対局の方は、筋肉一発ツモ×2が効果的に決まった堂岐が捌き手も入れつつ優位に場面を進めていく。
そして、局面は南3局を迎えていた。