一気通貫(イッツー)は、1種類の数牌で123、456、789の順子を作ると成立する2翻役(鳴くと1翻)です。一気通貫は2翻役のなかでは出現頻度が比較的高く、形も覚えやすいので初心者の方でも習得しやすい役(2翻役)です。
「一気通貫(イッキツウカン)」というのが正式な名前ですが、「イッツー」と略して呼ばれることが多いです。その牌姿から転じて、「始めから終わりまで一通りそろっていること」を意味する言葉として、麻雀以外で使われることもあります。
一気通貫は3組の順子によって成立する役なので順子系の役と複合しやすく、鳴いても成立する役なので仕掛けてアガることもできます。
【目次】
一気通貫(イッツー)が成立する条件
一気通貫/イッツーは、3種類の数牌のうちどれかひとつの数牌を使って、123・456・789の3つの順子を作り、1~9までの形を揃えることで成立する役です。
一気通貫(イッキツウカン)
- 1種類の数牌で123、456、789の順子を作る
- 門前でなくてもOK
※2飜役だが、鳴くと1飜に下がる
一気通貫=1種類の数牌で123456789を順子で揃えると成立する役
アガリ
成立する例
一気通貫/イッツーは門前でなくとも成立する役なので、チーをして揃えることでも成立しますし、イッツー部分以外の面子を鳴くこともできます。
アガリ不成立となる例
イッツーで手を進めた結果、イッツー部分が確定せずにリャンメン形でテンパイしてしまうと、片方の待ちでしかアガれない「片アガリ」になってしまうことがあります。他の役がある場合はイッツーが付かなくてもアガれますが、下の例のようなテンパイのときは注意しましょう。
ツモ
待ちテンパイだが、でしかイッツーが付かず役がないのでアガれない
一気通貫(イッツー)と相性の良い役
一気通貫/イッツーは、123と456と789という3つの順子を作る必要があるので、結果的に4面子1雀頭のうち3面子は順子になります。ですので、刻子系の役とはあまり相性が良くなく、代わりに順子系の役との相性が非常に良い役です。
一気通貫(イッツー)+ 平和(ピンフ)
「すべて順子」「頭が役牌でない」「両面待ちでテンパイ」「門前」という条件で成立する平和(ピンフ)は、イッツーと最も相性の良い役のひとつです。門前でテンパイする必要がありますが、ピンフ+イッツーは打点も高く美しい形のひとつです。
アガリ平和(ピンフ)とは? 順子・役牌以外の雀頭・リャンメン待ちで作った門前役
一気通貫(イッツー)+ 混一色(ホンイツ)
一気通貫/イッツーの条件である1~9の順子は1種類の数牌で揃える必要があるため、必然的に最低3面子は1種類の数牌で揃えることになる。残りの雀頭+1面子で条件を満たせば、手牌のすべてを1種類の数牌と字牌で揃えると成立する混一色(ホンイツ)と複合する。
アガリ混一色(ホンイツ)とは? 数牌のいずれか1種類と字牌だけで手牌を揃えると成立する役
一気通貫(イッツー)+ 清一色(チンイツ)
難易度は非常に高いが、上記のホンイツと同様の理由で、1種類の数牌だけを使って揃えると成立する清一色(チンイツ)とも相性が良い。形によっては、一盃口(イーペーコー)と複合したり、まれに役満である九蓮宝燈(チューレンポウトウ)に発展するケースもある。
待ち。だとイッツー・イーペーコーと複合し、だと九蓮宝燈になる。
清一色(チンイツ)とは? 数牌のいずれか1種類だけで手牌を揃えると成立する役
九蓮宝燈(チューレンポウトウ)とは? 特定の形のチンイツを揃えると成立する役満
一気通貫(イッツー)が狙える状態を知る
ケースA:ツモ・ドラ
ケースAはとのくっつきのイーシャンテンに構えていたところにをツモってきた場面。を残すと、ツモ・でイッツーのテンパイになるのを見逃してはいけない。よっては切らず、との孤立牌のうち、より外側である打とする。
このようにイッツーはうっかりしていると見逃しがちである。では、どうすればイッツーに敏感になることができるのか。それはケースAのように同色牌が6枚になったらイッツーを意識することだ。6枚はイッツー高確率状態と言える。
ケースB:
通常はペンチャン()よりカンチャン()を残すのが普通である。しかし、ケースBを見るとマンズが6種類あるので、イッツーの可能性を残して打()とする。イッツーを意識した選択は、打点が欲しい時はもちろん、アガリトップなど役が欲しいときも重要となってくる。6枚がイッツー高確率状態なら、その一歩前の5枚の段階はイッツー準備状態と言える。
ケースC:
ケースCはケースBの一歩手前の手牌だが、マンズが5枚・・・つまりイッツー準備状態であることに気付き、を残してを切ることが、イッツー高確率状態を逃さないことに繋がるのだ。
ケースD:ツモ
特にケースDのように、5プロックが決まっていない状態ではイッツー準備状態を意識しよう。をツモ切らずに打とする。
一気通貫(イッツー)の見切り時
ケースE:
ケースEの形を含む2シャンテンの手牌は、打が正解になるケースが多い。
ケースe
ケースeは2シャンテン。ここからは打が正着。イッツーにこだわるならピンズに手をかけるよりないが、と欲しい牌が限定されるので、かなりテンパイまでの受け入れ枚数が狭くなる。そこでを切ると、をツモっても裏目とならず手が進む上、タンヤオや456の三色など、幅広い役をカバーできる。
ケースEのマンズの形はよく出てくる形で、を切ってもの受けが残ることはしっかり覚えておきたい。この形はタンヤオや三色が絡まなくても打が強いからだ。なお左右対称のも同様に打が強い。
ケースF:
ケースFはドラが0枚ならリーチのみでテンパイしても価値が低いので、仕掛けを込みで打()とする選択が良い。しかし、ドラが1枚〜2枚あるならを切って瞬間のロスをなくし、先制リーチを目指す。ドラ1~2枚ならピンフ>イッツーと言える。
ケースG:
ケースGは先ほどと同様に、打とするとの受けは残り、他がタンヤオ形ならばツモでタンヤオが付加される。
ケースH:
ケースHはもう、この形を維持するのが気持ち悪いくらいだ。
ケースh:
ケースhのように他がタンヤオ形ならば、と払って、メンタンピンを目指した方が早いし打点も遜色ない。イッツー部分以外がタンヤオターツで構成されているならタンヤオ>イッツーであることが言える。
一気通貫(イッツー)が狙える状態を知る、一気通貫(イッツー)の見切り時(『麻雀手役大全』 (近代麻雀戦術シリーズ)より)
一気通貫(イッツー)のまとめ
一気通貫/イッツーは、1~9まで1枚ずつ集めるという形の分かりやすさと、鳴いても成立することから初心者の方でも覚えやすい役です。
欠点は、断么九(タンヤオ)・三色同順(サンショク)などの重要な役のいくつかと複合しないことです。特にサンショクは、イッツーとサンショクどちらを選択するかという両天秤の状態になることもあり、順子手の双璧をなす役とも言えるかもしれません。
また、2翻役ではありますが、鳴くと1翻になってしまい打点が下がってしまうやすいので、鳴いて手を進める場合はよく考えてから判断しましょう。
以下の記事で一気通貫をはじめ、役ごとの飜数を一覧でまとめています。