目の前にある、遥か遠い高みを目指して 松本吉弘・最強への新たな一歩【Mリーグ2020観戦記12/17】担当記者:東川亮

目の前にある、

遥か遠い高みを目指して 

松本吉弘・最強への

新たな一歩

文・東川亮【木曜担当ライター】2020年12月17日

麻雀最強戦ファイナル、決勝。

松本吉弘の下家には、多井隆晴が座っている。

オーラスでトップ目は多井、松本の逆転条件は倍満ツモと苦しい。

しかし松本は、七対子ドラドラのテンパイを入れた。

リーチしてツモり、裏ドラが2枚乗れば倍満という、最後にして最大のチャンスだ。

待ちは、生牌か1枚切れの

国士無双狙いの打ち手がいたことから、松本は待ちでリーチをかけた。

一発目のツモは、まさかの

それでも願いを込め、松本は牌山に手を伸ばす。

そして、終局間際にツモ。

裏ドラは・・・選んだだった。

リーチツモ七対子ドラドラ裏裏、奇跡のような倍満で多井を逆転し、松本は優勝を果たした。

泣きながらインタビューに応じ・・・。

そこで、松本は目を覚ます。

顔は涙でぐしゃぐしゃだった。

多井が日本最大のプロアマ混合タイトル「麻雀最強戦」で優勝し、悲願である「最強位」を獲得した、翌朝のことである。

第2回戦

東家:松本吉弘渋谷ABEMAS

南家:萩原聖人TEAM雷電

西家:茅森早香セガサミーフェニックス

北家:勝又健志EX風林火山 

現時点で言うと、Mリーグ30選手の中でもっとも勝利への思いを強く持っているのは、ここまで勝利がない萩原かもしれない。

 

その萩原が、東1局満貫ツモ、東2局は茅森から3900を出アガリと、序盤から順調に加点していく。

 

しかし松本も1000-2000は1100-2100ツモ、5200出アガリと連続アガリ。

虎視眈々と逆転を狙う。

 

南1局1本場

茅森が早々にとポン、マンズのホンイツへと向かう。

ただ、この仕掛けでちらつくのはやはり、役満・大三元だ。

は場に1枚。

そして2枚目のは松本の元にあったが、あっさりと切った。

筆者は以前「三元牌が2つ鳴かれた直後に3つ目も鳴かれる可能性は5パーセント」という話を聞いたことがある。

数字の根拠は分からないが抱えるほどリスクが高くなる以上、攻める気があるならさっさと切る、そうでなければ切らないというのがこのケースのセオリーだ。

11巡目、松本はをチー。

待ちだがでしかアガれない片アガリのテンパイを組む。

ただ、は既に3枚切られており、役なしでツモってしまう可能性は低い。

また、本人曰く「もめちゃくちゃ切られていたので、スルーはなかった」。

これを見て、勝又が動く。

単騎のテンパイを入れていたが、松本の仕掛けに呼応するかのようにツモ切りリーチと打って出た。

親のリーチがなくなったこと、そして自身でを切っており、待ちが出やすくなっていることも理由としてあるだろう。

勝又はリーチ後にを暗槓、打点を引き上げていく。

ただ、新ドラがとなったことで、松本の手もタンヤオドラドラ赤の満貫にパワーアップした。

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