オーラスに見た条件戦の難しさ 徳井健太、接戦をしぶとく制してファイナルへ 麻雀最強戦2021「著名人異能決戦」観戦記【決勝卓】担当記者:東川亮

だが、残り3枚あった【1ピン】は、そこにはなかった。

4位に終わった加賀は、麻雀最強戦からの引退を表明した。

少し目元が潤み、言葉に詰まったように感じたのは気のせいだろうか。

加賀ほどの人物がこれほど熱い気持ちを持って麻雀最強戦に挑んでくれていたことに、個人的には心から感謝とリスペクトの思いを表したい。

間違いなく、我々麻雀ファンの代表であったと思う。

3位の宮内は、昨年同様最後まで我々をドキドキさせてくれた。

アガリには遠かったが、明確な意志のある麻雀は非常に見応えがあった。

2年続けて印象に残る活躍を見せてくれただけに、ぜひ来年も麻雀最強戦にチャレンジしていただければと思う。

2位の近藤は「テンパイを取るために押し続けるハートがなかった」と敗因を語った。

最強戦初出場ということで経験不足ではあったかもしれないが、随所に良さを発揮していた。

最後には「次はもうちょっと勉強して徳井さんに勝ちたい」と力強く宣言。

次回はさらにレベルアップした姿を見せてくれるだろう。

優勝した徳井は、2戦通じて最高打点が5200と「破天荒ギャンブラー」と呼ぶにはやや物足りない感じではあった。

だが、接戦をしぶとく制する雀力の高さは参加者の中でも随一と呼んでいいものだったのではないだろうか。

この男の麻雀がファイナルの猛者たちにどのくらい通用するのか、非常に楽しみになった。

徳井さん、優勝おめでとうございます!

ファイナルでのご活躍も期待しております!

そして最後に、この方について触れないわけにはいかない。

解説に復帰された「バビィ」こと馬場裕一プロだ。

今年春にがんで闘病されていることを公表され、出場が予定されていた麻雀最強戦も辞退したが、久しぶりに現場に復帰。

以前より少し痩せたが、変わらぬ「バビィ」節を聞かせてくれた。

個人的な思いで恐縮だが、2017年に出版された馬場さんの著書「メンチン何切る」は、筆者が麻雀界に関わる最初のきっかけを作ってくれた本でもある。

ぜひ、今後も元気にご活躍いただけることを、心より願う。

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