それでも、Fraは諦めてなぞいなかった。
「集中切るなよ。素点を削るんだ。鴨神と天開がバカトップとってくれたときに、俺が2着で、メイカが1000点でも少なかったら優勝できるんだから」
力強い言葉。
Fraの頭には、あくまでチーム優勝しかなかった。
4着回避率のタイトルなんか、見ていなかったのだ。
しかしそのFraの願いを打ち破ったのは、奇しくもチーム3位のヘラクレス渋谷。
2位まで駆け上がる満貫のアガリで、第28試合は決着となった。
結果は以上のようになった。
歌衣が個人スコア2位と3位の渋谷郡道を沈めたことで、MVPに輝いた。
Fraも対局中は一度も話題に出さず、ただただチーム優勝を求めた結果、4着回避率のタイトル受賞という形になった。
それでも、インタビューの時ですら「悔しい」という言葉を連呼していたFraは、この結果に全く満足はしていなさそうだったが。
とにかくこの神域リーグで最後まで全力で打ち切る姿に胸を打たれた視聴者は多いはずだ。
これにて、Cランク選手の神域リーグが終わった。
最終のチームスコアは、第30試合の記事を参照してほしい。
……そして最後に、このシーンをこの記事を読んでくれた方に知っていて欲しい。
それは、他よりも少し早く終わったCランクの選手達が、表彰式前に少しの時間だけ集まって話していたシーン。
「おいメイカ!!! お前まじふざけんな!」(Fra)
「お前ちょっとマジで言わせて! お前運ゲーだってこれ!!」(郡道)
「ヤバすぎ!! なんなんだよあれー!!」(渋谷)
「あーすいませんすいません!!」(歌衣)
罵詈雑言を浴びせられる中で、画面から少し逃げようとしているようにすら見える歌衣が、可愛らしい。
……ね?
最後の試合で、こんなにも笑い飛ばしてくれる仲間達って、紛れもなく最高だと思わない?
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924