千といくつかの夜を越えて 萩原聖人が語った「ユニバースに伝えたい 伝えなきゃならないこと」【Mリーグ2022-23ファイナル観戦記5/19】担当記者:渡邉浩史郎

萩原の親番は松ヶ瀬の手によって流され、

【東3局】では松ヶ瀬がマンガンツモ。

さらに【南1局】、松ヶ瀬のこの赤赤使った変化待ちの聴牌に……

危険牌を先切りした萩原が飛び込んでしまう。

5200の直撃で、これでほとんど雷電と横並び。萩原からすれば最悪の点棒状況だ。

【南2局】では滝沢がリーチツモ七対子ドラドラのハネマンツモ!6000点の親被りこそ痛いが、滝沢がトップ目に再び躍り出たことで状況はよくなった。

そして迎えた【南4局】

ラス親の松ヶ瀬にトップを取らせたくない萩原。速攻を仕掛けて自身のラスを受け入れる1000点の和了り。この半荘で貰った配牌、出来得る限りの最善を尽くしてバトンを託した。

逃げる側に余りにきつかった半荘。それでもこれまで蓄えてきた余力がある。

最終戦、格闘倶楽部はABEMASと102100点差のトップラスで優勝。
風林火山は雷電と一着順+9500点差以上であれば3位入賞に手が届く。

Mリーグ開幕宣言から千と七六八日。昨年は-1256.1ptという大敗を喫し、五年目にして初めて迎えたファイナルの舞台。

萩原は語る。初のファイナル、雷電は何を感じ、何を得たのかを。

「ユニバースのみんなは僕達がファイナルにみんなを連れてってくれたと言ってくれるが、全く逆で、苦しいチームを何年も諦めずに応援してくれたみんながいたから僕たちはここに来れた。」
「僕が大事な時に体調を崩してみんなにすごい迷惑をかけて、その中でもみんなが、そしてチームメイトがファイナルまで連れてってくれた」
「結果は惨敗になっていますけど、得たものは本当に果てしないなと思っております」

それは紛れもない萩原の本心。いくつもの苦境の夜を越えて、共に朝日を拝もうとしたユニバースたちへの感謝がとめどなくあふれてきた。

今年優勝のシャーレを掴むことは叶わなかったが、初めて観測した頂きを前に、萩原は誰よりも自身の言葉でファンへの思いを伝えたかったのだろう。

そして萩原が伝えることはもう一つ。

「勝ったら泣こうぜて言ってきたけど、今年は泣かせることはできなかった。ただ負けたときには笑おうぜって思っていたので、次に出る彼女が思いっきり楽しく打ってもらえるように、とにかく、みんなで、最後笑って……」

「応援しようぜ!」

泣いても笑っても最後の試合が、今、始まる。

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