「優勝して、誠一さんを
胴上げしたい。今の目標は
それに尽きる」
醍醐大
6月30日に行われたMリーグ2023-24ドラフト会議で、セガサミーフェニックスより指名を受けたのは、近年常にMリーガー候補として名前が挙げられていた最高位戦日本プロ麻雀協会屈指の強豪、醍醐大(だいご ひろし)だった。フェニックスを支えた大黒柱・近藤誠一の後釜としてチームに加わる男は今、どのような心持ちでいるのか。ドラフト会議直後の醍醐を直撃した。
──ドラフト会議で指名を受けた、今の心境はいかがでしょうか。
3年前ぐらいからでしょうか、この時期になると自分のやっている麻雀レッスンの生徒さんや、街とかで声をかけていただく方とかにも「Mリーガーになってください」とおっしゃっていただく機会が増えていました。ここ何年かは言われたけどダメだった、ということがずっと続いていたのですが、今年はその声が例年の倍くらいありまして、今回はやっと期待に応えられたということで、いろいろな感情がありますが、まずはホッとした気持ちが一番大きいです。
──この1年では、YouTubeチャンネルを始めるなど新たな取り組みをされています。Mリーグ入りに向けての意識の変化などはあったのでしょうか。
YouTubeは個人ではなく会社でやっているもので、自分がやっている麻雀レッスン「HQ麻雀」を普及させる活動の一環で始めました。他にも、麻雀プロには面白い人がいっぱいいるのでYouTubeで起用して皆さんに知っていただきたいとか、いろいろな目的もあります。ただ、Mリーグに出てみたい、引退するまでにはある程度の成績をあの場でも残したいと思っていましたから、そのアピールになれば、という思いも少しはありました。
──Mリーグに対しては、選ばれるだけではなくあそこで勝たないといけないと、今から思われているということですね。
自分でいうのも変な話ですが、セガサミーさんや麻雀ファンの方からはアピールよりも勝つことを期待されているでしょうし、とにかく出たら勝たなければいけないと思っています。
──今回の加入の経緯としては、近藤誠一選手の勇退を受けての指名で、近藤選手の後釜、後継という見られ方もされると思います。
近藤誠一さんとは一緒のリーグで対戦するくらいしかお会いする機会がなかったのですが、最高位決定戦を2年連続で戦ったことがあって、そのときから少し特別な感情が生まれていました。僕はそれまで、尊敬する麻雀プロというのは特にいなかったんですけど、僕が最高位になった年に、かなり好調だと思っていたにもかかわらず最終日が始まる段階で誠一さんが僕の上にいて「この人すごいなあ」と思ったところがあり、そこから誠一さんのことを意識するようになったんです。
誠一さんは最高位戦の中でも抜けて人気が高い麻雀プロで、本当にたくさんのファンがいらっしゃるんですよね。それを改めて感じてからは、僕の中では誠一さんが麻雀プロとして目指すべき目標のような存在になっていました。
僕、誠一さんがセガサミーフェニックスを勇退されるのをTwitterで初めて知って、発表があった日の夜にLINEを送ったんです。自分が誠一さんに抱いている思いや、「誠一さんがMリーグを抜けるのも悲しいですけど、それ以上に最高位戦で選手として引退されるのはとても寂しいので、くれぐれも体には気をつけて、選手生命を1年でも長く伸ばせるように頑張ってください」ということをお伝えしました。その後にお会いさせていただく機会があり、そこから今回の指名につながった、という流れでした。
──そうした思いも含め、今回のMリーグ入りには期するものがあると思います。
誠一さんの後継者というか、代わりに入るということで、誠一さんを見てきた麻雀ファンからどういうふうに見られるか、というプレッシャーもありますし、誠一さんと一緒のチームで戦えるうれしさもあります。思うことは、本当にいろいろありますね。
──セガサミーフェニックスというチームに対しての印象はいかがでしょうか。
今の選手3人とは、これまであまり接点がなかったんです。なんなら何とお呼びしたらいいか分からないくらいなので、まずはそこからですね(笑)。
あとは、僕はここ数か月、いろいろな人からMリーグについてお話をされることが多かったのですが、その中で今年感じたのがセガサミーフェニックスファンの多さです。今までは「Mリーガーになれるといいですね」という感じのお言葉をいただくことが多かったのですが、今年は「ぜひセガサミーフェニックスに来てください」みたいに言ってくださることがたくさんいて、それが印象に残っています。
──今後は近藤監督の分まで、ファンの期待を背負って戦っていくことになります。改めて、意気込みを伺えますか。
個人的にはやっぱり、成績を残さないといけないと思っています。そして、Mリーグは見ている人の数が最高位戦のAリーグとかとは桁違いなので、そこで「この人の麻雀は面白いな」と思ってもらえるのもうれしいですし、「こういう選択があるんだな」「なんでこの人はこんなことをするんだろう」と、麻雀についてもう少し考えられるきっかけみたいなものを提供できたらいいなと、個人的には思っています。
ただ、ドラフト会議後に誠一さんと電話で少し話したのですが、やっぱり一番は、とにかくチームを優勝させて誠一さんを胴上げしたいですね。今の目標はそれに尽きます。その絵をなんとか実現させて、みんなで誠一さんをお祝いしたい。それが目標です。
──近藤監督は「フェニックスポーズができなかったら契約破棄だ」とおっしゃっていました。
電話でも「ちゃんとできるようになっておかないと失格だからね」って言われたので、なんとかできるように頑張って練習したいと思います(笑)。ちょっとぎこちなかったら、みんなに笑ってもらえれば、みたいな感じです。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。