2024年、反撃開始
復活の打点女王・茅森早香
文・東川亮【金曜担当ライター】2024年1月5日
大和証券Mリーグ、2024年は1月4日からスタート。まだ正月休みが続いている方もいると思われるが、Mリーグに関しては年始からすでに熱い戦いが繰り広げられている。
この日は現状でレギュラーシーズン敗退ポジションに位置するTEAM雷電とセガサミーフェニックス、そして12月に苦戦したEX風林火山が新年初戦を迎えた。赤坂ドリブンズを含め、どのチームも幸先のよいスタートを切りたいのは変わらない。
第1試合
東家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
序盤を引っ張ったのは、ドリブンズ・園田。チームは首位と差のない2位、個人成績は200ポイント越えの3位と、今回試合をする4者のなかでは抜けて状況が良い。
東1局は首尾良く先制リーチをかけ、萩原の高目タンヤオリャンペーコーという弩級の追っかけリーチを受けるもすぐにツモって、1300-2600の加点に成功。
東3局1本場には、ドラ1のカン待ちテンパイをノータイムで外す。ソーズの形がよく、さらなる変化も見えることから、リーチで手牌にふたをせず、変化の可能性を残した。
手に置いたにがくっついてリーチ。リャンメン待ちでタンヤオもついて打点十分、1巡前とは見違えるテンパイだ。
このリーチに立ち向かえる者は現れず、時間はかかったが流局間際でツモアガって4000は4100オール。ツモられた側からすると、げんなりしてしまうアガリである。
なお、Mリーグで裏3が一度も乗っていないことが話題になる園田だが、今回もやっぱり乗らなかった。
とはいえ、持ち点は46500まで伸ばしている。2023年の勢いのままにトップを取り切るかに思えた
東4局。
3巡目にしてチートイツの1シャンテンになった茅森は、を切ってメンツ手を見切った。この手をメンツ手で仕上げようとしても、時間がかかるだけでなく打点上昇の要素も少ない。だったら、ドラを1枚引くだけで形を保ったまま手牌の価値が急激に高まるチートイツに向かったほうがいい、ということだろう。
狙いのドラを引き入れる。これでアガったときのリターンは飛躍的に大きくなり、
局の中盤、10巡目にドラ待ちテンパイ。リーチと打って出た。
茅森と言えば、Mリーグ初年度のみの表彰となった「平均打点」のタイトル獲得者であり、一時は「一日一跳」と言われるほど高打点をアガる、打点力に定評のある打ち手だ。
ただ、今シーズンは入場時に表示されたように、平均打点が36選手中36位。高打点のテンパイは入るものの、それがほとんど実らないという展開が、2023年には幾度となくあった。
だからといってやることは変わらない。茅森は常に冷静に打つことをテーマとしている打ち手だ。やることをやり、リーチをかけた後にアガれるかどうかはツモ山や相手の判断次第。ただ、応援している側としては「今度こそ」の思いが募る。
だが、やはり一筋縄ではいかない。親の萩原がカン、同じ牌の待ちで追っかけリーチをかけた。お互いのアガリ牌は、山にたった1枚。こういう手が幾度となくアガれなかったのが、今シーズンの茅森だった。
しかし、今回は違った。
茅森の、猫のように返った右手のなかにがきらめく。
裏ドラこそ乗らなかったものの、ハネ満ツモ・3000-6000の高打点は劣勢を一気に跳ね返す一撃。
大きなアガリで気分良く迎えた南1局の親番、ここも茅森の手がいい。
3巡目にしてイーペーコーが完成しての1シャンテン。ドラのが重なろうものなら、6000オールクラスのさらなる高打点も見える。このときの茅森は、ドラ単騎リーチも構想にあったという。
だが、1シャンテンのまま局が中盤に差し掛かり、が2枚切られたところで、茅森は引いてきたを残してをリリース。茅森の目からはこの3pも狙い頃に見えていた。
既にが4枚見えで、自身も序盤にを切っており、ピンズの数が小さいほうの受けが残っているようには見えにくい。このも、単騎待ちリーチの候補として優秀だ。
もちろん、先に重なればなお良し。残したがうまく雀頭になり、ピンフイーペーコーのリーチに。茅森の意図に、牌も応えていく。
ロン牌のがテンパイの園田から打たれると、裏ドラが2枚。2局連続での12000加点、しかも2度目はトップ目からの直撃という最高の形で、茅森が一気にトップ目へと浮上した。
この攻撃力こそ、茅森の魅力。
打点女王の本領発揮である。
南2局は園田が赤2枚を内蔵したリーチをかけるも、テンパイを入れていた茅森が園田にツモらせることなくを引き入れて700-1300のツモアガリ。アガリのタイミングも最高。
昨年はやられたが、今年は違う。