決着は「ゼウスの庭」で〜
鈴木たろうと東城りおの
壮絶な打撃戦
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2024年1月5日
レギュラーシーズンも折り返しを過ぎ、まもなく終盤戦に差し掛かろうというところ。
ここで気になるのが、セミファイナル進出ボーダーである第6位のスコア。
これをいくらに想定すべきか… ということ。
過去4シーズンの平均値は約▲74ポイント。
もちろん、シーズンごとにポイントの大きな偏りはあるが、おおむねラス1回分のマイナスに収めておけたら、データ上はレギュラーシーズン突破がかなり現実的であると言える。
カットラインの直下に位置する雷電はトップ1.5回分でノルマ達成となるが、問題はさらに厳しいポイント状況のフェニックスとBEAST。
残り40ゲーム余りで、フェニックスはトップ4〜5回分のプラスを叩き出さねばならず、BEASTに至ってはトップ9〜10回分が必要。
そう考えると、両チームともにこれから先は1ゲームも落とせない戦いが続く。
すでに「条件戦」の渦中にいると言っても過言ではない両チームだが、本日はフェニックスが第1試合をトップで飾っている。
同日連勝をものにして、大逆転劇への足場とすることができるのか?
第2回戦
東家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
西家:東城りお(セガサミーフェニックス)
北家:二階堂亜樹(EX風林火山)
第2試合は、序盤から仕掛けを多用して得点を積み上げたドリブンズのたろうと、フェニックスの東城との一騎討ちとなった。
まずは東3局3本場。
7巡目、3面張リーチのたろうが一発ツモ。
リーチ一発ツモピンフドラウラの3,000−6,000で東城を引き離すと、南1局にはその東城がハネマンツモでやり返す。
さらに東城は、南2局1本場で大量加点に成功。
たろうとのホンイツ対決を制し、ホンイツドラ4赤の3,000−6,000をツモ和了ってトップ目へ。
第1試合の茅森に続き、喉から手が出るほど欲しい同日連勝が目の前に見えてきた。
迎えた南3局、東城の親番。
劣勢が続く亜樹、ここからを叩いて攻撃態勢。
ドラのを2枚抱えているとはいえ、いささか遠く見える仕掛け。
他家から見ても、単なる安仕掛けで東城の親を落とす速攻には見えないはずで、マークが厳しくなることが予想される。
しかし、これが切れ味抜群だった。
この形で長考に沈んだ東城。
手の中から打ち出されたを亜樹がチー。
バックでストレートにテンパイを取ることもできるが、亜樹は当然打でテンパイ取らず。
他家から見てもソウズのホンイツ一直線の亜樹。
本来なら封殺されてしまうかもしれない直線的な仕掛けも、「ある条件下」でなら成就の可能性が高まる。
それが、冒頭に示したチームのポイント状況だ。
フェニックスは、ラスを引くことなく4〜5回分のトップを取らなければシーズンが終わってしまう条件戦に突入している。
第1試合で茅森が殊勲のトップを奪取して、仮想ノルマは無傷のトップがあと4回。
トップを狙えるチャンスが毎度やってくるのなら焦る必要もないが、現実問題としてそんな都合の良いことはあり得ない。
だから、チャンスと観れば大胆に踏み込んでいくことが求められる。
この場面、仮にプラスのポイントを持って余裕がある状況なら、下家の亜樹を徹底的にガードする選択肢もあっただろう。
しかし、フェニックスはチャレンジャーの立場。
それをよく理解している東城の選択肢は一つ。
「ここで決めにいくしかない。」