レディ・ベルセルクは
屈しない──
高宮まりがたどり着いた
美しい最終形
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2023年11月27日
第2試合
東家:魚谷侑未 (セガサミーフェニックス)
南家:瑞原明奈 (U-NEXT Pirates)
西家:高宮まり (KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:松本吉弘 (渋谷ABEMAS)
この牌姿から何を切るだろうか?
東2局、親番を迎えた瑞原の8巡目の手牌だ。
形だけで言えば、を見なかったことにしてと落としたくなる。
打牌の候補は、例えば打がある。
を切るとこの形。
この形のいいところはテンパイする牌が多い点。
・と8種類ある。
ただそのうち・は引くと単騎テンパイになってしまい、リャンメンでテンパイする牌は4種類だけだ。
対して、を切った場合。
テンパイする牌は・と4種類しかないが、何を引いても平和が確定しており、678のタンピン三色まで狙うことができる。
ドラ単騎なら良いが、マンズの単騎待ちになった際に即リーチに踏み出せない点を考慮すると、満足いくテンパイ形になる牌の種類はそんなに変わらない。
であれば最高打点が狙える切りが良いという理屈だ。
を残していたのは先にドラのを引いた時にを切って受けのタンピンドラドラが狙えるからで、ドラを引く前であればツモ切りが良いだろう。
ただ、今回は状況がやや複雑だった。
トップ目の魚谷が・をポンしている。
は瑞原が欲しかった牌だ。
魚谷はをポンしてドラのを切り、次巡をポンして打としている。
仕掛けからマンズの染め手に見えるが、場に字牌が多く切れており、魚谷のオタ風である南以外は全て2枚以上見えている。
つまり魚谷の仕掛けが染め手だった場合、ホンイツではなくチンイツである可能性が高い。
実際には頭のないイーシャンテンで、チンイツになるには2枚牌を引かなければいけない手だった。
ただ、周りからすれば知る由もない。
最低打点満貫のかなり迫力のある仕掛けに見える。
そして瑞原の手牌だ。
何もなければを落としたいが、678の三色になるはポンされていて、待ちに不安が残る。
瑞原の選択は打だった。
を引けばネックの待ちを解消しつつメンタンピンリーチを打つことができる。仮にを引いてドラの単騎でダマテンに構えれば、が魚谷の現物なので脇からこぼれるかもしれない。
他家の動きに対応しつつ、勝負できる形は残す柔軟な選択を見せる。
この局面は東2局だが、少し遡り、東1局にとても似た局面があった。
東1局、今度は西家の高宮の手牌。
瑞原の手は678の三色が狙える手だったが、高宮の手は789三色のイーシャンテン。瑞原がドラが重なったときに受けを変えられるようを残していたのと同じ理由で、高宮もを手に抱えていた。
そして、瑞原と同じようにを引いてくる。
この牌姿も、先ほど説明したように落としが一般的だろう。
しかしこの局も、東2局と同じく難しい局面となっていた。
直前に親番の魚谷からリーチが入っているのだ。