苦しくとも、足掻くバタ足 白鳥翔はそうして、やがて来る飛翔の時を待つ【Mリーグ2023-24観戦記 11/30】担当記者 #後藤哲冶

ラスを引いてしまったこの日も、白鳥は牌譜を見て自身の麻雀を振り返っていた。
時間を割いたのは、南3局の、放銃に回ったシーン。

白鳥はこの形から勝又のリーチに通っていない【9マン】を打ち、3900の放銃になっている。
自身の手はアガリに近いわけではなく、【4ピン】は通っているので一旦の【4ピン】打ちでも良さそうだが。

それでも、白鳥は【9マン】を打った。
【4ピン】を打つとテンパイする牌は【9マン】【2ピン】【8ソウ】と苦しい。
勝負するなら【9マン】を打って、残った形が苦しいカン【3ピン】だとしても、テンパイの枚数は明らかに増える。
もちろん、アガリまでは、シャンテン数以上に遠い。
しかし、白鳥翔は足掻いた。
その理由には、まだスジがかなり通っていないこと、そしてなにより、親の伊達が【1ソウ】の暗刻落としでほぼやめており、白鳥にとって良い横移動や、親連荘での局が増える可能性もかなり減っていることが挙げられる。
白鳥は、放銃のリスクがあっても、この方が長期的に見ればプラスになると信じて運命に足掻いたのだ。

個人4連ラスは、気持ち的にはもちろん苦しい。
しかしそれでも、白鳥はもう既に、Mリーグで酸いも甘いも嚙み分けてきた。
とにかくこれからも自分の麻雀を打ちぬくことが、チームにとってプラスになることを良く知っている。

だから今日のように、苦しくとも、足掻くことはやめない。
同じ状況が来たら、再び白鳥は足掻くだろう。

たとえその足掻きが、傍から見れば、泥臭いバタ足だったとしても。

そのバタ足がいつか、再び力強く飛び立つための助走だと、ABEMASのファンは知っている。

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