東4局
この男の生命力たるや。
手牌を開けばドラが3枚並んでいるではないか… 神様まで味方に付けはじめたのだろうか。
しかし、このイーシャンテンがどうにもこうにも埋まらずに牌が横に曲がったのが16巡目である。
三度目の空振りとなる。
風が少しずつ変わり始めている。
南1局
常に一定のテンポを崩すことの少ない優が手を止めた。
視線を河に下す。
形ではを切りたくなるものの、マンズの下目が河に放たれ過ぎている。そして、の景色が抜群に良いとなると…
こういう選択も生まれてくるのだ。
窮地に立たされても焦りという感情は一切ない。
この局は日向がファインプレーを披露した。
ここからをツモ切りし、ガードを固めていく。
このプレーが功を奏して優のテンパイ、中田のリーチに挟まれても危険な勝負をすることなくアガリまでのルートを辿ることができた。
この局をもって主役が入れ替わる。
更に点棒を積み上げていった日向は3者に影すら踏ませない独走状態に入った。
萩原が親番で18000点をアガったものの時すでに遅し。
南4局
終盤には堂々と役なしケイテンを取り、根こそぎ点棒を奪い取る意思を他家に見せつけ続けた。
こうして大偉業の連勝記録は5で幕を閉じた。
対局後のインタビューで優は笑顔でこう語る。
『チームも6連勝目に期待してくれていて、一番良いパフォーマンスを出せるタイミングで登板させてくれました。滅多にないチャンスではありましたが、まずはチームのことを第一に考えてこれからも頑張っていきます。』
大記録を成し得た者とは思えない謙虚さである。
そんなの格好良すぎやしないか。
坪川義昭(つぼかわよしあき) 日本プロ麻雀協会5期前期生。雀王戦B1リーグ所属。行政書士法人石田事務所に勤務。 https://www.ishida-tomoyuki.com X(旧Twitter): @eehounotsubokku