謙虚さが成し得た大偉業【Mリーグ2023-24観戦記 1/19 鈴木優 VS 中田花奈 VS 萩原聖人 VS 日向藍子】担当記者 坪川義昭

東4局

 

 

この男の生命力たるや。
手牌を開けばドラが3枚並んでいるではないか… 神様まで味方に付けはじめたのだろうか。

しかし、このイーシャンテンがどうにもこうにも埋まらずに牌が横に曲がったのが16巡目である。

三度目の空振りとなる。
風が少しずつ変わり始めている。

南1局

 

常に一定のテンポを崩すことの少ない優が手を止めた。
視線を河に下す。
形では【2ソウ】を切りたくなるものの、マンズの下目が河に放たれ過ぎている。そして、【3ソウ】の景色が抜群に良いとなると…

こういう選択も生まれてくるのだ。
窮地に立たされても焦りという感情は一切ない。

この局は日向がファインプレーを披露した。
ここから【7ソウ】をツモ切りし、ガードを固めていく。
このプレーが功を奏して優のテンパイ、中田のリーチに挟まれても危険な勝負をすることなくアガリまでのルートを辿ることができた。

この局をもって主役が入れ替わる。
更に点棒を積み上げていった日向は3者に影すら踏ませない独走状態に入った。
萩原が親番で18000点をアガったものの時すでに遅し。

南4局

 

終盤には堂々と役なしケイテンを取り、根こそぎ点棒を奪い取る意思を他家に見せつけ続けた。

こうして大偉業の連勝記録は5で幕を閉じた。
対局後のインタビューで優は笑顔でこう語る。

『チームも6連勝目に期待してくれていて、一番良いパフォーマンスを出せるタイミングで登板させてくれました。滅多にないチャンスではありましたが、まずはチームのことを第一に考えてこれからも頑張っていきます。』

大記録を成し得た者とは思えない謙虚さである。
そんなの格好良すぎやしないか。

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