大誤算とは言わせない 超重量級の戦いで 醍醐大が魅せた諦め【Mリーグ2023-24観戦記 1/30】担当記者 ZERO / 沖中祐也

その丸太ん棒のような腕が、アガリ牌を引き寄せる。

丸太ん棒のせいで見えないが、タンヤオドラ2・赤1の2000/4000である。

続く南3局

丸太ん棒のせいで見えないが、【發】ドラ赤の1000/2000で切って落とし、トップ目でオーラスを迎える。

マンガンで再逆転となる松ヶ瀬からリーチが入った。

メンタンピン赤1、文句なしのマンガンである。

8回連続逆連対… デビュー以来の不調にまみれた松ヶ瀬だって勝ちたい気持ちは同じ。
どうしたってツモる手に力が入る。

リーチ棒を投げた後は、もう人知を超えた領域である。
ツモれ…!

ツモるな…!

もう祈ることしかできないのである。

屈強な男たちが、言葉を発さず、ただ1つのアガリ、ただ1つのトップに向け全力で火花を散らす。

0.01%の上積みのために麻雀プロたちは日々鍛錬を重ね、でも最後の最後のめくり合いでは神に祈ることしかできない。

そこに麻雀の虚しさと面白さが同居している。

結果、松ヶ瀬のリーチは小林のアガリの前に霧散し、1本場で醍醐が自らの手でアガり

昇天。
結果的に醍醐は南場で3回アガったのだが、私は手を崩した南1局の親番が一番印象に残った。

フェニックスがトップを取ったことで、またしても上下がぐっと縮まった結果に。

「コツコツマイナスを返していけばいい」
と簡単に言うが、麻雀はそうはいかないことを誰もがわかっている。

残り31試合。
迎える先は天国か地獄か。
リーチ棒を投げた後と同じで、ファンももう祈ることしかできない。

精一杯祈ろう、1つのアガリを。
その先にある勝利を信じてただひたすら祈ろう。

9チームあれば9チームのドラマがある。

毎年この時期に言っている言葉で締めよう。
Mリーグはここからが一番面白い。

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