瀬戸熊直樹の「進化」
~日々変わっていくMリーグ
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2023年12月15日
第2回戦
東家:瀬戸熊直樹(TEAM雷電)
南家:醍醐 大(セガサミーフェニックス)
西家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
第1試合。
箱下7,100点から奇跡の生還を果たしたTEAM雷電の黒沢咲。
2位フィニッシュだったものの、回復した素点と順位点の差は約70ポイント。
開局早々に大失点を食らった場面からは想像できない逆転劇で、辛くもプラスポイントを持ち帰った。
そして、敢闘賞の黒沢からバトンを受け取ったのは…。
現在、チーム順位はカットライン直下の第7位。
ズルズルと傷が深くなりそうな雰囲気を打破する一発に期待が集まった。
しかし、瀬戸熊の立ち上がりはスカッとしない。
東1局。
先制リーチを放った瀬戸熊だったが、滝沢の丁寧な対応の前に空を切った。
続く東2局は、滝沢が瀬戸熊からチートイツドラドラの6,400点を直撃。
第1試合の黒沢と同様、放銃への道にじゅうたんが敷かれているような印象。
導かれるようにを切らされるのは、なんとも味が悪い。
そして、東3局。
失点が続く瀬戸熊に、今度は醍醐が先制リーチでかぶせてくる。
リーチピンフ赤ドラ。打点は十分。
唯一の心配は、待ち牌のがすでに2枚場に切られている点。
見た目の枚数は少なそうだが、「他家にプレッシャーをかけ、ツモりに行く時間を稼ぐ」という意味でもリーチが手筋だろう。
対応を迫られた瀬戸熊。
リーチを受けた時点で瀬戸熊はこの手格好。
トイツのとはともに自風のため、仕掛けてリーチを蹴りに行くことは可能。
だが、醍醐の河が変則的。
ションパイのはいかにも切りにくいし、自分の手の中にはドラも赤もない。
また、リーチにはマンズが1枚も切られていないため、わずかながらホンイツチートイツの速攻も否定しにくい。
近い将来、手詰まりする可能性もあったが、タイトロープを渡っていく瀬戸熊の姿にご注目いただきたい。
宣言牌の、筋のと切った次巡。
を引いて、現物の切り。
ホンイツに向かったとも言えるが、この時点では現物を追いかけている印象。
は切りやすそうに見えるが、この時点では読みの材料に乏しく、軽々には切れない。
醍醐がをツモ切ったことで、ホンイツへの道が繋がった。
しかし次巡、
嫌なタイミングで引かされた。
いかにも… という存在感が不気味である。
だが、ツモで分断されたターツが連結されると話は別。
さらに、
まで引き込んでイーシャンテン。
だが、先ほどのを、
「掴まされた」
というマインドにあれば、打ち手によっては切らない選択もありそう。