映像ではハッキリ映っていなかったが、このは大介が山からこぼしてしまった牌だったらしい。「失礼しました」という大介の音声は、マイクが拾っている。
はいわゆる「見せ牌」ではあるが、それがある場所を知ってしまった。そして自分の手は手順上がアガリ牌になる形になってしまった。そしてツモ筋が変わるなら、それが本田のアガリ牌でない限りツモ切られることも分かってしまった。
大介はそれをフェアではないとし、自身の見せ牌を戒めるような形で見逃したのだった。Mリーグでは以前、TEAM雷電の瀬戸熊直樹が同様のプレーをしたのを、長くMリーグを見ているファンの方は覚えているかもしれない。
Mリーグには、「見せ牌をアガってはいけない」というルールはなく、このをアガることになんら問題はない。ちまたの打ち手であればアガる人のほうが多そうで、なんなら筆者もアガりそうだ。ここでの本田からの直撃は着順アップに直結し、ポイント的には最低でも28.7ポイントのプラスになる。
ただ、大介はアガらなかった。本人の勝負哲学、あるいは美学といったものに殉じた形だが、 何よりもチームに迷惑をかけたことは事実であり、試合後には勝負師、あるいはチーム戦にふさわしくないと、批判の声も散見された。
もちろん、批判されてもおかしくはない行為ではある。ただ、大介としてここで自身の気持ちに反した振る舞いをしたら、自分の心中に少なからずわだかまりを残すだろうし、それが尾を引いて今後自身の麻雀を貫けなくなることもあるかもしれない。特に、大介はそういう心の部分を重んじる打ち手という印象がある。
#鈴木大介 選手おかえりなさい!🐺
苦し過ぎる半荘のなかにもDの流儀を感じました。
今日は4.4と厳しい1日となりましたが、チームでしっかり振り返って次に活かします。本日の対局の模様は10/30(水)の #BEASTROAD で放送します📺📱#Mリーグ #BEASTX #ビーストテン #二刀流ブルドーザー #反撃の狼煙… pic.twitter.com/ch07JjzZK1
— BEAST X(TEN)🐺 (@BEAST_X_TEN) October 24, 2024
本人的にも、思うところはあるはずだ。ただ、結果はもう変えられない。このアガらずの選択をした以上は、今後は見せ牌をしないのはもちろん、得られるはずだったポイントを、チームのため、ファン・サポーターのためにも、責任をもって自身の麻雀で取り返さないといけなくなった。そんな大介の戦いには、今後改めて注目したい。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。