そして、卓上に広がった牌姿を見ると声を失わずにはいられなかった。

試合後、舞台裏インタビューでの一コマで。
解説・土田
「四暗刻をツモりに行くために、リーチの選択肢はなかったんですか?」
仲林は少し笑みを浮かべて、淡々と答える。
「いや、どこから倍満を出アガっても嬉しい点況でしたからね。」
何ともらしい回答である。

開幕週にいきなり四暗刻を炸裂させた仲林。
あの瞬間、確かに彼はヒーローだった。
そして迎えたこの劣勢の場面。
再び歓喜の渦を呼び込めば、自分がもう一度ヒーローになれるチャンス…。
だが、一か八かの派手さを追わない。
自分の事よりも、まずはチームの勝利を優先し、確実にポイントを積み重ねる。
その姿勢こそが、仲林圭という男の最大の強みなのかもしれない。
南3局 ──“なんなん”から卒業!?園田賢の鬱憤──
ド派手度:★★★★★
細かな読み合い、緻密な駆け引き、そして奇抜な騙し合い。
まるで投手戦のような静かな展開を予想していた。
しかし蓋を開けてみると、待っていたのは己の拳と拳がぶつかり合うインファイト。泥臭さすら漂う、激しい高打点の応酬。
そして、最後にこの局も…

まさかの横移動によって、園田の目の前に“トップ”という現実的な二文字が浮かび上がる。
そして訪れたのは、嬉しすぎる親番での先手リーチ。勝負を決めにいく一打である。
しかし、あまりにも出来すぎてる流れ。

(浮かれちゃあかんで…)
すると、そんなに簡単にはアガらせないとばかりに

堀が静かに追いかける。

もちろん、これも園田にとって想定内であっただろう。

園田
(運が悪かっただけでは終わらせない。仮に、ここで一発で慎吾に放銃してラスになったとしても…。この手はリーチなんだ。)
少しばかり雲行きが怪しくなっていくも…

堀のリーチを受けた一発目の牌。
それは何とツモアガリ牌の一つ。待望のであった。

(ほっ…。でも裏は期待しちゃあかんで。でもここは過去のシーズンでの鬱憤を晴らすチャンス!)
園田といえば“裏ドラが乗らない男”としてイメージが先行。過去7シーズンを振り返っても、裏3などほぼ皆無に等しい。
だからこそ、今それを覆す時──

8年目の園田は、やはりどこかが違った。
長らく“裏ドラに見放された男”と呼ばれてきたその手は、まるで“麻雀の神様の前髪を掴む”かのように裏ドラ3枚をしっかり握り締め、新たな魔術!?を駆使して白鳥を大きく捲り逆転トップ。

自ら手掛けた書籍の宣伝まで堂々とできるインタビュー席まで勝ち取ったのであった。
園田賢
「役満をツモられても、裏ドラ3枚乗せて勝てる本となっております。
9/30発売、是非お買い求めください!宜しくお願いします!!」

リポーター・梶梨沙子
「はーい。あのーほんとに、いっぱい喋って頂いてありがとうございますー。」
初リポーターとは思えないほど落ち着いていて、園田を引き立たせるシュールな返しが最高でした(笑)
こうして最後も、大きなアガリ(笑い)で幕を閉じたこの試合。
実に平均打点1万点超えというド派手な対局となったが、
その裏で繰り広げられた細かな読み合いや小さな駆け引きも、実に見応えがあった。