

2巡目にが落ちている。となれば、その外側にあたる
も準安牌候補となり、ターツごと処理できる
に手が掛かる打ち手が多いだろう。
だが堀はそうしなかった。
浮いたはもちろんの事、これから引いてくるかもしれない危険牌すら切る覚悟があるのだ。その強い意志が、この
切りには込められている。
東4局 ──幻を犠牲にして掴んだ白鳥ロマン──
ド派手度:★★★★☆

白鳥
「日和ってる奴いる?いねえよなぁ…!?」
そんな名台詞が聞こえてきそうな押しを見せたのはこの局。

「ラス目・仲林からのリーチ!?そんなの関係ねぇ…」
白鳥はを切り飛ばしていった。

現状は七対子のイーシャンテン。も内蔵されており、手牌価値は決して低くない。
しかし、それはあくまで“静かな水面下”という条件付き。破壊力を秘めながらも、後手を踏めば一気に脆さが露呈するのがこの七対子。なぜなら、テンパイした時には必ず単騎待ちになってしまうからだ。
よって、ここは現状のテンパイ受け入れ枚数を最大化し、かつ自ら安全牌を生み出せる切りが“セオリー”であったかもしれない。
にも関わらずを選んだ理由… それは

数巡後、ツモの所で再び手が止まる白鳥。安全牌は増えていない。
さっき通したの筋で
切り!?
もちろん切りのメリットとして、筋の
を打牌候補に押し上げる効果もあっただろう。しかし、ここまできたら目指すものは…

ツモでテンパイへ。
思い返せば、あの切りがすべてのターニング・ポイントだった。
理由はただ一つ…
「ツモり四暗刻、出アガリ・トイトイ・三暗刻・三色同刻・赤の倍満。」
そう、8シーズン目に突入してなお誰もアガっていない幻の役“三色同刻”。それも視野に入れたロマン全開ルートであったのだ。
「セオリー無視? そんなの関係ねぇ。ここまで来たら狙うっきゃないだろ!」

手牌で“三色同刻”が完成しているにも関わらず、記録上では決して残らないパラドックス(矛盾)。
しかし、記憶には残る…
開幕からわずか数週にして、早くも今シーズン2度目の役満が成就したのであった。
南1局 1本場──手の震えも止めさせる仲林の平静さ──
ド派手度:★★★★☆
遅めの夏フェス会場に特大な花火を打ち上げた白鳥。

その冷めやらぬ感情から来るものなのか、手の震えを抑え切れず牌を溢す仕草が何とも麻雀らしい。
(今日の観戦記のタイトルはこれで決まりかな。)
私自身も、この時点である程度の構成を頭の中で組み立てていた。
ところが次の瞬間、まるでそのノートを丸ごと破り捨てられたかのような光景が飛び込んでくる。

この局も自然に進め、をツモ切る親番・白鳥。
「パタリっ!」
すると、突如として手牌が倒されたのであった。

4,600点待ちの4着目であった仲林圭から
「ロンっ!」

僅か一瞬の間で起きた出来事を、必死に理解しようと目を見開く白鳥。