園田賢 ──8年目の進化とは──【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 9/26 第1試合(麻雀チャンネル)】担当記者 小林正和

 

2巡目に【4マン】が落ちている。となれば、その外側にあたる【3マン】も準安牌候補となり、ターツごと処理できる【4マン】に手が掛かる打ち手が多いだろう。

だが堀はそうしなかった。
浮いた【3ソウ】はもちろんの事、これから引いてくるかもしれない危険牌すら切る覚悟があるのだ。その強い意志が、この【赤5ソウ】切りには込められている。

東4局 ──幻を犠牲にして掴んだ白鳥ロマン──

ド派手度:★★★★☆

白鳥
「日和ってる奴いる?いねえよなぁ…!?」

そんな名台詞が聞こえてきそうな押しを見せたのはこの局。

「ラス目・仲林からのリーチ!?そんなの関係ねぇ…」

白鳥は【6ピン】を切り飛ばしていった。

現状は七対子のイーシャンテン。【赤5マン】も内蔵されており、手牌価値は決して低くない。

しかし、それはあくまで“静かな水面下”という条件付き。破壊力を秘めながらも、後手を踏めば一気に脆さが露呈するのがこの七対子。なぜなら、テンパイした時には必ず単騎待ちになってしまうからだ。

よって、ここは現状のテンパイ受け入れ枚数を最大化し、かつ自ら安全牌を生み出せる【1ソウ】切りが“セオリー”であったかもしれない。

にも関わらず【6ピン】を選んだ理由… それは

数巡後、ツモ【1ピン】の所で再び手が止まる白鳥。安全牌は増えていない。

さっき通した【6ピン】の筋で【3ピン】切り!?

もちろん【6ピン】切りのメリットとして、筋の【3ピン】を打牌候補に押し上げる効果もあっただろう。しかし、ここまできたら目指すものは…

ツモ【3ピン】でテンパイへ。

思い返せば、あの【6ピン】切りがすべてのターニング・ポイントだった。

理由はただ一つ…

「ツモり四暗刻、出アガリ・トイトイ・三暗刻・三色同刻・赤の倍満。」

そう、8シーズン目に突入してなお誰もアガっていない幻の役“三色同刻”。それも視野に入れたロマン全開ルートであったのだ。

「セオリー無視? そんなの関係ねぇ。ここまで来たら狙うっきゃないだろ!」

手牌で“三色同刻”が完成しているにも関わらず、記録上では決して残らないパラドックス(矛盾)。

しかし、記憶には残る…

白鳥翔
四暗刻ツモ
8,000・16,000

開幕からわずか数週にして、早くも今シーズン2度目の役満が成就したのであった。

南1局 1本場──手の震えも止めさせる仲林の平静さ──

ド派手度:★★★★☆

遅めの夏フェス会場に特大な花火を打ち上げた白鳥。

その冷めやらぬ感情から来るものなのか、手の震えを抑え切れず牌を溢す仕草が何とも麻雀らしい。

(今日の観戦記のタイトルはこれで決まりかな。)

私自身も、この時点である程度の構成を頭の中で組み立てていた。

ところが次の瞬間、まるでそのノートを丸ごと破り捨てられたかのような光景が飛び込んでくる。

この局も自然に進め、【南】をツモ切る親番・白鳥。

「パタリっ!」

すると、突如として手牌が倒されたのであった。

4,600点待ちの4着目であった仲林圭から

「ロンっ!」

【白】・ダブ【南】ホンイツトイトイ三暗刻
16,000

僅か一瞬の間で起きた出来事を、必死に理解しようと目を見開く白鳥。

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