年内最後のBoxing Day
──鈴木たろう、悲劇から喜劇へ──
文・小林正和【金曜担当ライター】2025年12月26日
みなさん、「Boxing Day(ボクシング・デー)」という言葉はご存知だろうか。
あの格闘技のボクシングではない。
クリスマスの翌日、箱(Box)に入ったプレゼントが遅れて回ってくる。そんなニュアンスで語られる日(デー)。
今日が、それにあたる12月26日だ。Mリーグの年内・最終戦である。
そして、その舞台に揃ったのは四神の神々たち。
風神の内川幸太郎。
雷神の萩原聖人。
鬼神の下石戟。
最後に今季、40選手中一人だけトップなし。ギリシャ神話における最高神ゼウス。
果たして、たろうにとっての一日遅れのクリスマス・プレゼント。初トップは、届くのだろうか。
しかし、待っていたのは「すれ違い」による悲劇の連続であった──。
第2試合
東家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
南家:下石戟(BEAST X)
西家:萩原聖人(TEAM RAIDEN / 雷電)
北家:内川幸太郎(EX風林火山)
ここで、まず数字をひとつ提示しておきたい。
「1.0%」
これは、たろうが開幕から16戦トップなしで今日を迎える確率だ。
トップを取る確率をざっくりと1/4と置けば、来ない確率は3/4。それが16回続く。
(3/4)^16≒0.01 つまり約1.0%
100年に1回とまで言い切るのは大げさかもしれないが、少なくとも麻雀のよくある不運の常軌からは逸脱しているだろう。
Mリーグでは時々、数字でしか説明できない悲劇がある。2025シーズンのゼウスは、その当事者だった。
ところが…
東2局
あっさりとハネマンツモを決めてしまう。
リーチ・一発・ツモ・ピンフ・赤・赤・裏の3,000・6,000だ!
おやっと思っただろう。
(今夜は違うのか!?)
いつもは届かないはずの贈り物が、なんだか落ちてきそうな予感。だが、いつだって希望の光の裏には、影が隠れている。
それは東3局の出来事。
リーチ手順かタンヤオ手順かの分岐点。
結果的に裏目の
がやってきてしまう。
ここが一つ目の「すれ違い」。
試合後のチーム内での見解では、太は前巡に
に手をかけるそうだ。その場合、ここでテンパイ。タンヤオ・カン
待ちになっているだろう。
そのテンパイ逃しを見透かすように、七対子・ドラ2のヤミテンを入れていた親の萩原。ここは勝負所と見て、徐に(おもむろに)地獄の
単騎・ツモ切りリーチを放つ。
それに対してたろうも、合わせるように動いてテンパイ・カン
待ちで追いつくが…
ツモるのは萩原。














