年内最後のBoxing Day──鈴木たろう、悲劇から喜劇へ──【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 12/26 第2試合(麻雀チャンネル)】担当記者 小林正和

6,000オールは親のハネマン! 一発でたろうを抜き去っていった。

更に、悪夢は続く。
東4局

視点は変わって、こちらは親・内川の手番。

ドラドラを貰ったものの、ホンイツか七対子か。迷いが生じる形だ。

ここは選択肢の中では、何故だか右手からいちばん遠い【發】に手を掛ける。とはいえ自然と進める一打だろう。

ちなみに【中】も浮いていたが、それはいわゆる「指運」というやつだ。

それは内川にとっては「すれ違い」の逆の「噛み合い」と言うのかもしれない。

だが、たろうにとって今はキレイ事など言ってられない。内川へ望むのは「すれ違い」の方なのだから。

しかし、その思いは届かず。

その一組のトイツの威力が存分に発揮される七対子のアガリ。またしても親の6,000オールだ!トップどころか、2着さえ危うくなってくる。

たろう
「実は、無理だなっていう気持ちになっちゃってました。(初トップは)来年かなって。」

そして、ポロッとこぼれたその本音に繋がったシーンが、こちらだ。

東4局1本場

4着目の下石からのリーチを目の前に、たろうも追いつく。

「リーチ!」

現状、トップ目の萩原を追いかける立場。リャンメン・テンパイなら当然の一手なのに…


高めのドラ【5マン】を掴み、下石へマンガン放銃となってしまう。

そして、ABEMAのカメラ・パフォーマンスは本当に凄い。その瞬間のたろうの表情を、逃さなかった。

(初トップ… 今年は難しいかなぁ)

確かに、そう心の声が聞こえてきそうな悲壮感が漂っていたのだった。

東場は、そんな「すれ違い」の連続。

間に合いそうで間に合わない。届きかけて、届かない。
たった一つの後先が、運命をねじ曲げていく。

それは、まるでシェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』のようだ。

悲劇は派手に始まらない。届かなかった1牌(手紙)ひとつで、結果が傾く。

半ば、諦めに近い気持ちだった。

ところが、南場でゼウスは遂に目覚める。
南1局

【東】【1マン】をポンすると、程なくしてホンイツのテンパイ。
ここは見た目枚数の多い【3マン】【6マン】待ちに受けると思われたが…

なんと【6マン】切り。
つまり【中】単騎テンパイに取ったのだ!

その時の全体図がこちら。

そして理由・思考を求めて、本人による振り返り配信にお邪魔することにした。

たろう
「最近の“たろう界隈トレンド”だと、こういう仕掛けには字牌を被せてくることが多いんです。河に顔を見せてない字牌は山にあると読みました。あと下石がやる気満々で、【3マン】【6マン】より字牌の方が先に余ると思ったので、ツモよりロン寄りに。さらに、あとで待ち替えした時は、例えは【7マン】とかは出アガリ率が上がったり、相手に【2マン】【5マン】を打ちづらくさせる効果もありますね。」

解説・河野直也
【中】【發】を持ってる人がいた場合、緑一色の芽を先に摘む意味合いで【發】から切られることが多い。今回は切られてないってことは、山にいるんじゃないかという思考ですね。」

赤い【中】単騎から緑の【發】単騎へと、一日遅いクリスマス・カラーのイルミネーションを辿る。

これにより、1枚だった当たりが2枚に増えると…

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