渡辺太、冴え渡るゲームメイク【麻雀最強戦2025 ファイナル1st】観戦記【A卓】文:喜多剛士

テンパイのタイミングを見極めた、見事な差し込みで終局となった。

1stステージA卓の勝ち上がりは、渡辺太滝沢和典

 

トップ通過を果たした太は、東3局の8000点のアガリで主導権を握ると、その後は危なげない局進行でリードを守り切った。 無理をせず、必要な場面では確実に加点し、南場では冷静かつ柔軟なゲームメイクが光った。

滝沢もまた、常に好位置をキープし続けた試合巧者ぶりが際立った。 太の局進行に助けられた面もあったが、参加率をあげる仕掛けを増やした姿勢が、周囲に確かなプレッシャーを与えていた。 その積極性が、勝ち上がりを引き寄せた要因のひとつと言えるだろう。

橘は序盤から好配牌に恵まれ、構想も冴えていたが、ツモに恵まれずアガリに届かない場面が続いた。 チャンス手をものにできなかったことが、最後まで響いた印象だ。

田村は東3局でのダマテンの守備判断が見事だったが、最終手番で押し出される形での放銃が痛かった。 南場では選択の難しさに苦しみ、特に南2局の【發】【北】の選択は、結果を分ける分岐点となった。 あと一歩のところで勝ち上がりを逃したものの、随所に光る打ち回しが見られた一戦だった。

そして、いよいよ明日、最強位が決まる。この試合を勝ち上がった二人が、そのまま頂点に立つのか、注目の一戦となる。

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