多井隆晴、卓上を支配する 最速最強のゲームメイク【Mリーグ2026-27 観戦記 10/15 第1試合(麻雀2ch)】担当記者 喜多剛士

南1局1本場は、多井が2000オールをツモりリードを広げる。しかし続く南1局2本場では、逢川が2000-4000のツモアガリ。これで2着争いは一気に激しさを増した。

2着争いが激しくなる展開は、多井にとっては歓迎材料。追う側同士が競り合ってくれれば、自身は無理をせずともトップが近づく。

トップ目の多井にとっては、むしろ歓迎できる展開だったかもしれない。自身を追う3人がトップ争いではなく2着争いに意識を向ければ、打点よりもアガリを優先した仕掛けや交わし手が増える事で局が進みやすくなるからだ。

 

南4局

南3局で逢川の3000-6000のアガリで、トップを射程圏内に入れて迎えたオーラス。

親の逢川には、ドラの【西】が対子のリャンシャンテンが入る。前半戦は何度も勝負手が入りながらアガリに結び付かず苦しい展開だったが、南場で巻き返しに成功。ようやくトップが見える位置までたどり着いた。前半のチャンス手が実らなかっただけに、この親番は何としてもものにしたい。

永井は【中】を暗刻にした仕掛けの利くリャンシャンテン。トップは厳しくとも、ラス落ちのリスクは避けたい。スピード感のある配牌は非常にありがたい状況だった。

第1打でドラの【西】を切り、さらに【赤5マン】も手放す。自分で決めたくなるのが人情だが、多井は目の前のアガリ欲を抑えた。「ここは自分が勝負する局ではない」。そんなメッセージが伝わってくるような打ち回しだった。

トップ目として相手の心理をしっかりと把握して最も価値の高い選択を冷静に選べるのが多井の強さだろう。

その後、永井は【4ピン】を引き入れ、カン【3ピン】とカン【6マン】の選択に迫られる。多井からのアシストが期待できる状況だけに慎重な検討となったが、最終的に萬子を外してカン【3ピン】待ちを選択した。

多井に鳴かせてもらう場合、3や7といったキー牌は放たれやすい事を見据えた選択だったのかもしれない。

さらに永井は【6ソウ】暗刻にし、テンパイ。2着にはリーチをしてツモっても裏ドラ条件だったためダマテンを選択していたが、【6ピン】を引き入れて一盃口が完成。これでツモれば満貫となり2着浮上が見える。

ここで永井はリーチを宣言した。

対する逢川は、現物は【7マン】の1枚しかない。【7マン】が3枚見えていることから【8マン】や【9マン】を処理する選択肢もあったが、チーム状況を考えればトップを狙いたい場面。

ひとまず中スジの【5ピン】を切り、手牌の形を崩さずに様子を見る選択を取る。

しかし、この【5ピン】が永井への放銃となった。

リーチ・一発・【中】・一盃口の8000点。

永井が逆転で2着に浮上し、そのまま終局となった。

 

この試合、2着となった永井はオーラスの満貫アガリがあったものの、それまではなかなか決定打を作れない苦しい展開が続いた。それでも要所ではしっかりとリーチを放ち、最後まで着順アップの可能性を追い続けた結果、値千金のアガリを実らせて2着を確保した。

逢川は前半こそドラが絡む好手が何度も入りながらアガリに結び付かず苦戦。しかし南場に入ると高打点のツモアガリで一気にトップ争いへ加わった。あと一歩のところまで多井を追い詰めただけに、オーラスの放銃は悔しい3着となった。

元太はこの日も持ち前の我慢強い麻雀を貫いた。決定打となるチャンスが無く点数が伸びない展開。放銃がなかっただけに、悔しいラスとなった。

そしてトップを勝ち取ったのは多井。アガリ回数は4回を数えたが、満貫以上の高打点はなかった。それでも試合を支配していた印象が強いのは、やはり局面の見切りの良さだろう。行くべき局面ではしっかりとアガリを決め、自分の出番ではないと判断した局面では無理をせず、他家の動きを利用しながら卓全体をコントロールするゲームメイクが光った。

『最速最強』の名にふさわしい多井隆晴が帰ってきたと感じる一戦だった。

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