その強さ、チートかよ…多井隆晴が完膚なきまでに粉砕した「アベマズ包囲網」【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Fri】

その強さ、チートかよ…

多井隆晴が完膚なきまでに

粉砕した「アベマズ包囲網」

文・masasio【金曜担当ライター】2019年2月8日

 

「アベマズ包囲網」

10月にMリーグが開催されて以来、アベマズは首位をひた走っていた。

あっという間に400ポイントほどを稼ぎ、このままではダントツで優勝してしまうんじゃないか?これ以上アベマズにトップを取らせてはまずいんじゃないか??

ということでどこからともなくこの言葉が聞かれるようになった。

かくいう私も「アベマズ強いな~さすがだな~」と思って見ていたものだ。

もちろんこの心配は杞憂だったのだが、今まさに約4か月の時を経て「アベマズ包囲網」が引かれようとしている。

本日開始時のポイント状況はこちら。

本日は3位5位6位7位の対決。

ボーダーをめぐっての争いだ。

7位の雷電は4連勝してどうかというところ。

4位の麻雀格闘倶楽部まで、6位のフェニックスが173.4ポイント

5位のパイレーツが94.9ポイント。

1回のトップラスで約100ポイント縮まるのでまだまだ分からない・・・

と言いたいところなのだが、そうはいかない。

 

こちらが、残り試合の組み合わせである。

パイレーツ、フェニックスともに現在4位の麻雀格闘倶楽部との対戦がないのだ。

逆にアベマズとは直接対決が4試合残っている。

残り4試合でパイレーツは122.3ポイント、フェニックスが200.4ポイント

この差を詰めるというのが目標になるわけだ。

もちろんパイレーツとフェニックスはライバルだ。

しかしアベマズのポイントを減らすという意味においては味方といってもいいだろう。

「アベマズ包囲網」

生き残りをかけた戦いが始まる。

 

対戦相手はこちら。

4連勝が必要な雷電は、実績と経験とクマクマタイムで瀬戸熊が登場。

残りの3チームはチーム内で一番成績の良い選手をぶつけてきた。

アベマズの多井は目下8連対中、個人首位と絶好調。

朝倉、近藤の包囲網を打ち破れるか?

東1局、親の多井がアガリを重ねトップ目に立つが、残りの3人もアガリ返して接戦で迎えた南2局、

親の近藤の配牌がいい

 

をポンすれば簡単にアガれそうだ。

勝負どころの多井も仕掛けていく

ここから役牌のをポン!

イーシャンテンでマンズの変化も効く。

これは早そうだ。

しかし近藤もカンチャンを引いてイーシャンテン。

 

そして朝倉からが打たれてテンパイ…

 

…しかし、 近藤はポンせず!!!

 

写真を見ても分からないが、が打たれた瞬間、近藤の左眉がピクリと動いた。

「微動だにせず鳴かない」というのはよく聞くフレーズだが、一瞬の迷いが眉に現れるというのも面白い。

スルーの意図としてはやはり親番で打点が欲しいというのが大きいだろう。

ポンの2900でトップには並ぶが、それではまだ決まらない。

この手はが暗刻になっても良いし、ソーズが変化すればイーペーコーや456の三色も見える勝負手なのだ。

「次に良い手が入るとは限らない。ならこのチャンス手を最高形に仕上げよう」

「大きく打ち、大きく勝つ」

が信条の近藤。

この大一番でも自分の打ち方を貫いた。

そして

 

が出たその巡目にテンパイ。

即リーチに踏み切った。

高い手を目指すならダマテンにしてソーズの変化待ちという選択もあるが、リーチをすることで打点はカバーできている。

また可能性は低いが、字牌を合わせている瀬戸熊がを持っている可能性がある。

そもそも難しいことを考えずともをツモればマンガンだ。

待ちは盲点になるので出アガリも充分期待できる。

そこに立ちはだかったのがトップ目多井。

 リーチを受けてテンパイ。

まっすぐ行くならだが、多井の選択は

リーチに対して安全牌は無いのでまっすぐ行きたくなるところだが、あまりにも情報がない。

少しでも当たりにくい端っこを切りながら、あわよくば・・・という構え。

そのあわよくばが実ってしまう。

大きな大きな500/1000

勝負所を制した。

近藤はをポンすればすぐにツモでアガリがあったが後悔はないだろう。

といつもなら書くのだが、今回は眉が動いている。

もしかしたら少し後悔しているかもしれない。

オーラス

後のない瀬戸熊の配牌

形はまずまず。

アガリが期待できそうだ。

順調に手が進んでリーチ!!

待ちの親マン!!

瀬戸熊はこの日に限らず苦しい戦いを強いられてきた。

個人順位は20位。

特に後半戦に入ってから大きくポイントを減らし、チーム雷電の足を引っ張ってしまっている。

この日もオーラスを迎えてラス目。

この手をツモればトップが見えてくる。

瀬戸熊正念場だ。

そこに近藤も追いつく

ドラを重ねてテンパイ!

リーチをかければ6400

どこから出てもトップだ。

近藤も瀬戸熊のリーチなら最悪アガってもらっても構わないと考えていただろう。

しかしドラを引いて条件を満たしたなら話は別だ。

ここは当然のリーチ!!

瀬戸熊5枚

近藤3枚

今までも熱いめくり合いはたくさんあった。

勝負手と勝負手がぶつかり合うのは日常茶飯事だ。

しかし今回のめくり合いは今までのものとは意味が違う。

負けたら終わり―

チームを背負っためくり合いだ。

ツモる瀬戸熊の手も震えている。

人生をかけた、と言っても過言ではないめくり合いの結果は・・・

 

近藤がをつかんで決着。

瀬戸熊に軍配が上がった。

解説の内川プロに

「この瞬間のために麻雀をやっている」

と言わせるほどのめくり合い。

もしまだ見てないという方がいらっしゃれば是非ご覧いただきたい。

人生をかけためくり合いなどそうそう観られるものではない。

 

オーラス1本場

瀬戸熊がトップのチャンス

7巡目にチートイツのテンパイ。

前の巡目にを切ってチートイツに決めたのが功を奏した。

ここは当然リーチに行くだろうと思っていた。

プレッシャーをかけるというのももちろん大きいのだが、

多井が3巡目にを手出し、4巡目にをツモ切り。

近藤は端牌ばかりの切り出しで不明。

朝倉が2巡目にを手出ししてその後を手出し。

近藤は分からないが、多井、朝倉はを持っていなそうなのだ。

単純な待ちとしてはの方が端に近い分良い待ちなのだが、今回はドラがでピンズの5より上が全く出ていない。

この局面に限ればよりものほうが期待できそうに感じる。

瀬戸熊の選択は待ちでダマテン。

これには解説の内川プロも首をかしげる。

「一刻も早くリーチしたい局面ですが・・・」

おそらくだが瀬戸熊はどこかでツモ切りリーチをかけようと思っていたのではないだろうか。

いやどこかでと言わず次にリーチをする予定だったのかもしれない。

ツモ切りリーチにはいくつか理由があって、主なものが

「待ちが悪くて手替わりを待った」

「点数が高いのでダマにしたが、状況が変わった」

のどちらかだろう。

 

後者の場合は待ちは絞りにくいが、もし前者、つまり手替わりを待っていたのだとすればへの警戒は若干弱まる。

カンのシャンポン待ちだと瀬戸熊の立場なら即リーチときそうなものだ。

瀬戸熊はその裏をかこうとしたのではないだろうか。

そしてその1巡で引いたのが

今1枚切られたばかりの

これだ。

「リーチ」

しかしこのは近藤にトイツ。

安全牌に困らなければ出ることはないだろう。

 

リーチを受けた朝倉

トップの多井まではハネマンのツモアガリが必要。

2着の瀬戸熊までは3900の直撃かマンガンの出アガリだ。

条件には裏ドラか一発が必要だが、手替わりがほとんどない。

ドラのを引くくらいだろう。

ここはリーチを打つしかないかと思われたが、朝倉はを中抜き。

2着狙いのリーチを打たなかった。

リーチにが危険だ、というのも少しはあっただろう。

しかし皆さん忘れていると思うがこの日のテーマは

「アベマズ包囲網」

もし仮に自分がマンガンをツモったとして、ポイントはどうなるかというと

多井トップ +51.6

朝倉2着 +9.9

開始時のポイントを合わせると

多井 +107

朝倉 -57

となり164ポイントの差が付く。

一方仮に瀬戸熊がマンガンをツモってトップになった場合

多井2着 +9.6

朝倉3着 -23.5

トータルポイントは

多井 +65

朝倉 -90.4

多井との差は155.4ポイント

自分が2着になるよりもなんと1万点近く差がつかないのだ。

まして自分の手はマンガンが確定していない一発裏ドラ頼みの手だ。

もしアガって3着ならさらに2万点多井からは離されてしまう。

さらにさらに瀬戸熊に振り込んでラスになってしまっては、せっかく瀬戸熊がトップになっても本末転倒だ。

ここでオリて流局すれば次の局、ハネマンツモで自分がトップになれるし、運よくこの局テンパイが取れるようならマンガンツモでトップになれる。

そちらに賭けたほうがよっぽどましだろう。

もちろん朝倉もここまでこまかくポイントを計算しているわけではないだろうが、このまま多井トップよりは瀬戸熊にトップを取ってもらった方が得する、というのは織り込み済みだ。朝倉、いやパイレーツらしい緻密な選択だ。

多井も手が良かったが、親リーチにはなかなか歯向かえない。

暗刻のを切って回る。

 

リーチをかけた瀬戸熊。

捨て牌にが並んでしまった。

もしで即リーチに踏み切っていれば―

もし1巡の間に引いてきたのがでは無ければ―

タラレバを言えば切りがないのが麻雀だが、瀬戸熊の心境はいかに。

そうこうしている間に、多井がタンヤオでテンパイし

 

1枚だけを勝負して瀬戸熊からマンガンの出アガリでトップを決めた。

続く2回戦も、東場こそ苦しい展開だったが南場で点棒を回復してトップ。

アベマズ包囲網もなんのその、

驚異の4連勝、10連続連対を達成。

ファイナルステージ進出をほぼ手中に収めた。

ここまで異様なほど接戦だったMリーグ。

なんだかんだで最後まで分からない展開が続くのだろうと思っていたが現実は残酷だ。

パイレーツ、フェニックスは来週月曜日の試合でドリブンズか麻雀格闘倶楽部が負けるのを期待したうえでさらに最終日に勝たなければいけない非常に厳しい状況だ。

そしてチーム雷電。

10万点トップを2回とってようやくどうかといったところ。現実的にはほぼ不可能とみて良いだろう。このような状況でどういった麻雀を見せてくれるのだろうか。

 

2014年ソチ五輪

日本フィギュアのエース浅田真央はメダルを期待されていた。

しかし期待に反し、ショートプログラムでは転倒が相次ぎなんと16位・・・

何年もかけて準備してきたものが一瞬のうちに崩れ去ってしまった。

普通の選手ならこのまま終わってしまったであろうが、彼女は翌日のフリー演技で8回もの3回転ジャンプを成功させる完璧な演技を披露。自己ベストを更新し、トータルで6位に入賞するという快挙を見せてくれた。

勝ち残るチームももちろん気になるが、去り行くチーム、敗者の去り際にも注目したい。

きっと何か感じるところがあるはずだろう。

 

masasio
天鳳8段、元雀荘のメンバー。ライター初挑戦のニューフェイス。Twitter→こちら 

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