しかし状況がオリることを許さなかった。
厳しいと分かっていても、損だと分かっていても、それでも前に進まなけばならない。
オーラスの萩原の手牌。
500点差の近藤をまくるだけなら造作もない手だ。
しかしゴールはそこにない。
13,200点も離れている多井を目指す。目指さなければいけない状況になってしまった。
苦しい状況でもがき続け、損だと分かりながら、それでも選択権なんてない。
社会の縮図を見ているようで、いたたまれなくなった。
ここから下位3チームがファイナルステージに進出するには、奇跡のような確率が必要だろう。
それでも3チームは前を向かなければならない。前を向く他ない。
全てが終わるまで、確率は0%じゃないのだから。
阿部柊太朗
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。オンライン麻雀「天鳳」の牌譜機能を駆使した超緻密な観戦記が話題に。ブレイク間近の若手プロ雀士。
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