切ったジョーカーは1枚だけ
一太刀で決めた近藤誠一の我慢
文・ZERO【火曜担当ライター】2022年1月18日
まずは次の画像を見てほしい。
これはとあるMリーガーの天鳳におけるスタッツである。
フーロ率.337平均スコア+10.1… 東風戦の成績なので恐ろしく勝っているといえるが、はたしてこれは誰のものかおわかりだろうか。ヒントは今夜の出場メンバー。
あー朝倉ね。と思った方、残念ながらハズレである。
このデータの持ち主は…
いきなりジョーカーを切る
東1局
起家スタートの近藤がここからを切った。↓
この打を見て、解説の渋川は「を鳴く気がないですね」と説明する。
はをポンした後の重要なポン材になるからだ。
しかし、渋川の説明が終わらないうちに
ポンが入る!
ちゃちな点棒を拾わねぇ! とばかりに大物手を狙い続ける近藤が動いただけで、場に戦慄が走ったのだ。
このポン1つで殺されてしまった男がいた。
5巡目、上家から打たれた牌に朝倉の手が一瞬止まる。
手牌はこちら。
をポンすると、バックのテンパイに取ることができた。
しかし下家の近藤が仕掛けたこと、その近藤にドラ表示牌のを切らねばならないこと、まだ門前での変化があること、などを考慮して朝倉はスルーしたのだ。
フラットなら仕掛ける牌だったが、近藤の圧に屈してしまった形。
この逡巡の判断を、朝倉はとことん悔やんだ。
結果は流局し、次局
朝倉はリーチ合戦のはてに萩原へ12000のダイブすることになる。
ポンせずとの因果はないし、結果論でしかないとは思うのだが、ともあれ朝倉は近藤のポン1つで沈んでしまった。
実は先程の天鳳の成績はポンをいれた近藤のものである。
フーロ率.337は、今の近藤の麻雀からは信じられない。
しかしながら、近藤とて大きな麻雀しか打てないわけではない。
フィールドによって打ち方は変えるし、多くの経験、試行錯誤があって今の形になったのだ。
そういう意味で近藤はいつでも牽制できるジョーカーを持っている… といえる。
普段、腰の軽い打ち手がたまに重く打っても影響は小さいが、近藤のような腰の重い打ち手がたまに軽い仕掛けを入れると、一瞬で場を制圧することができる。
ただあまり仕掛けすぎると、効果がなくなってしまう。
ジョーカーには限りがあるのだ。
本当はこのジョーカーをなるべく温存して、セミファイナル、ファイナルで切りたかったのではないだろうか。
できればジョーカー(ポン)を、他チームの28人の選手にできれば見せたくなかった筈。
しかし、そうも言ってられないポイント状況になり、近藤はジョーカーを切った。
切羽詰まった気持ちが見え隠れするように感じた。
焦点の一局
東3局1本場
親の村上と近藤がピンズでぶつかった。
まずは
2フーロを入れた村上が…
ホンイツの12000テンパイ。
この仕掛けを受けた近藤も