海底から見えた光
さぁ、
最速マーメイド魚谷侑未
凪いだ海に漣(さざなみ)を起こせ
文・後藤哲冶【木曜担当ライター】2023年12月21日
セガサミーフェニックスには、良い追い風が吹き始めていた。
苦しんでいた醍醐が初トップを獲得してから勢いに乗り。
先日は、東城が2位からの連闘志願でトップ獲得と素晴らしい成績を残した。
一時は絶望的かとも思われた海の底に、一筋の光が差している。
レギュラー通過ボーダーとの差は、300pt弱。半分が残っていると思えば、至極現実的な数字だ。
序盤のチームにとって苦しい時期の中で、一人プラスを持ち帰って耐え続けていたのが、魚谷だった。
フェニックスはこれが年内最終戦。エース魚谷が、良い形で今年を終えるべく、戦いの舞台に立った。
12月22日 第2試合
東家 渋川難波 (KADOKAWAサクラナイツ)
南家 渡辺太 (赤坂ドリブンズ)
西家 小林剛 (U-NEXT Pirates)
北家 魚谷侑未 (セガサミーフェニックス)
東1局
魚谷に、チートイツイーシャンテンの配牌が入った。
ただ、は鳴きやすく、ホンイツトイトイ等も見えなくはない。
魚谷はから打ち出していく。を残すのは、もちろん赤があるからだ。
道中でを引いていたものの、この中はスルー。先にが2枚切れになっていたこともあり、ホンイツよりもここはチートイツの道を選んだ。
6巡でテンパイに辿り着く。を引き入れて、迷いなく単騎のリーチ。
しかしこの魚谷のアガリ牌は、太の手に暗刻だった。
オリを選んだ時は危ないが、生憎渡辺太は、暗刻とドラがある手牌で、そうやすやすとオリてくれる打ち手ではない。
そもそも、切り出しに変則手の可能性が残る魚谷の捨て牌に、現物ではなくを打つ選択はしなさそうだ。
太は、渋川から切られたをスルー。
現状雀頭が無く、は魚谷への安全牌。そこを消費するならば、まだ山から1枚牌を引いた方が、様々な道が残ると判断。
そしてこのをスルーしたおかげで……
後にテンパイを入れた際に、多少が出やすくなるメリットもある。
赤1の2000点で、まずは太が先制。
しかしすぐにその失点を取り返したのが、小林剛。
を鳴いて2000点のアガリで、渋川のリーチと、太の12000テンパイをかわし切った。
東3局
小林の手に好配牌。一打目にを打つのが、なんとも小林らしい。
ホンロウトイトイや、ホンイツを見る打ち手が多そうだが、あくまで捨て牌を派手にしない打。字牌ターツが多いこの手であれば、無理に最初から染めなくても後から選択できる。
これに応戦したのが渋川。
をポンしての打は、リャンメンを壊す手順。ソーズのホンイツで打点を見た。
を暗刻にしていた小林が、ここで切りを選択。
打点を考えれば一気にホンイツに寄せる払いもありそうだが、ここは素直なイーシャンテンに構えた。
しかしこのを引いて、小林の手が止まる。
対面に座る渋川は、染め手の捨て牌。しかしピンズ以外の牌が零れておらず、マンズとソーズどちらに染めているかの判断がつかない。