熱論!Mリーグ【Tue】
開演!沢崎劇場!
7本場全部見せます!
怪物が残した卓上での爪痕
文・ZERO【火曜担当ライター】2019年11月19日
麻雀は敗者のゲームである。
4人で打てば必ず誰かがラスを引く。100人の大会なら優勝以外の99人は敗者なのだ。
勝っているときは誰もがかっこいい。しかし、打ち手の本性が出るのは負けているときだ。
1戦目
瑞原明奈の華々しいバースデートップの裏で…
ラスを引いた松本吉弘がうなだれていた。
目下「個人トータルポイント最下位」という絶不調の最中で引くラスは、堪えるものがあるだろう。また、チーム戦ということがさらにダメージを大きくする。責任感の強い松本の心中を察すると、見ている方も辛くなってくる。
いや、嘘をついた。
私は人が負けているところを見るのも好きだ。性格が捻じ曲がっているのかもしれない。ついついラスを引いた打ち手のTwitterを覗きにいってしまう。
やはり負けたときこそその人の本性が垣間見えるし、敗者がいるからこそ勝者が光り輝くのだ。
また、Mリーグは人間ドラマだと思っている。ラスを引いてあれほど悔しがっているのを見ているので、勝った時の喜びも大きいのだと共感できる。また、うなだれている姿が見えるから、いかに真剣に対局に向き合っているかがファンにも伝わってくるのだ。
(だから対局後に笑っていた和久津晶に対し、厳しく書いてしまったのかもしれない)
さて、松本の著書「松本のベストバランス麻雀」の中で、私が1番印象に残った部分がある。
「ドラ」はあくまでも「アガリ時に持っていれば1枚につき1ハン高くなる牌」であり、逆に言うとそれ以上でもそれ以下でもない。「親」や「手役」も同様で、様々なファクターの本質を見抜くことが重要。
と、まぁこんなことが書いてあった。「ドラだから切れない」は間違いで「ドラは危険度が高く放銃時の打点も高い牌だから切れない」が正解で、それよりも優先するファクターがあれば切っていく選択もあるということだ。
この言葉をそのまま松本に送りたい。「ラス」は所詮「ラス」であり、それ以上でもそれ以下でもない。本質は今後も今日と同じようにベストバランスを尽くすことだろう。
ABEMASの仲間は松本がラスを引いたことに対し、文字通り全く気にしていないし、今後必ず松本を頼りにする場面がくると信じているだろう。むしろ心配なのは負けを背負い込みすぎてベストバランスが崩れてしまうこと。
仲間とファンを信じ、自身の語る「本質」を追求し、頑張ってほしいものだ。
最下位に転落してしまったABEMASを励ましたところで、事件が起きた2回戦へと移ろう。
2回戦
事件の主人公は
沢崎というと、一部のインターネット麻雀勢(長い)からの評価が厳しい。
たしかに沢崎の麻雀は効率を重視する人から見ると異質にみえるかもしれない。しかし、実際に打つ相手からすると、掴み所がなく、本当に打ちづらいのだ。
東1局。
絶好のをツモった沢崎はここで打。オタ風のを切らない。
いわゆる役牌アタックだ。ここでを重ねても頼みの手になるだけなので、相手に重ねられる前に切るのがベターとの判断。
次巡にを切ると、そのを見ながら…
多井隆晴がこの表情。役牌→オタ風の切り巡は、手が整っていますよ~という危険信号だ。
沢崎は、すぐに出たを…
ポン。解説の滝沢和典は「これを鳴くのは沢崎さんだけですね」と語る。
ドラ
は急所のように見えて、そうではない。マンズはいくらでも変化するしをツモれば234の三色まである。また周りを引いての変化なども合わせると、まだ慌てて鳴かなくともよいように感じる。
こういう部分を見て一部のインターネット麻雀勢(やっぱり長い)は「非効率」だと感じるのかもしれない。
しかし、この仕掛をみた周りからはどう見えるだろう?
役牌→オタ風と切ってきた打ち手がをポン。
役はタンヤオで、ドラをたくさんもっていそうだ。
多井はこの表情。
(魚谷侑未・沢崎誠・小林剛の3人はほとんど表情が変わらないので、多井の登場が多くなりそうだ)
周りの手は慎重になり、沢崎の手出しに注目が集まる。
それにしてもこのポンがよいとは、なかなか思えない。
「非効率」
ネット麻雀勢(略した)から聞こえる声はどこ吹く風と、
ひょいとをツモって沢崎劇場が幕開けした。
東2局。
アガって迎えた沢崎の親。