大逆転か、はたまたダブル役満か
混沌の一戦を制した勝又健志のリアル
文・東川亮【金曜担当ライター】2024年3月29日
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大和証券Mリーグ2023-24、レギュラーシーズン最終日。
この日の焦点は何よりも、EX風林火山とBEAST Japanextによるセミファイナル進出争いの最終決戦だった。
とはいえ、試合開始時には180ポイント以上リードしている風林火山が圧倒的に有利であり、初戦の結果いかんではBEASTが事実上の終戦を迎えることになる。
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風林火山が送り出したのは、頼れる軍師・勝又健志。
百戦練磨の実力と経験で敵を退け、この戦いを防衛戦ではなく次の舞台への足がかりにせんとする。
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BEASTは剛腕・鈴木大介に望みを託した。
デビューシーズンで再三見せた爆発力で、風林火山の牙城を穿つ。
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第1試合
南家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:鈴木大介(BEAST Japanext)
―そびえ立つ城壁、ままならぬ獣―
試合が進むにつれ、BEASTを応援する人たちにはこの男の姿がそびえ立つ城壁のように見えていたかもしれない。
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開局早々、勝又がドラ赤内蔵の字牌シャンポン待ちリーチを安目ながら一発でツモって4000オール。
最低でもトップ、可能なら勝又とのトップラスを決めたい大介としては、最悪の滑り出しとなる。
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次局はマンズのホンイツに向かっていたところに浅見のリーチを受け、リーチピンフドラドラ裏の8000は8300の放銃。
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先手を取って加点したいのに、それができず持ち点が減っていく。大介にとって身を切られるような展開。
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東2局はようやく大介が先制、勝又の追っかけリーチを受けるも2000-4000のツモアガリで持ち点を回復するが、
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東3局には親の浅見がカン待ちテンパイから
を暗槓、リンシャンでツモってツモリンシャンホンイツドラ、6000オールのツモアガリ。せっかく稼いだ持ち点を再び削られてしまう。
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ただ、浅見がトップ目に立ったことで、その浅見を逆転できれば、この対局の最低条件である勝又とのトップ3着の並びが自然に作れるようになった。ターゲットが明確になるのは、決して悪いことではない。
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そんな大介の思いもむなしく、勝又はアガリを重ねていく。東3局3本場では、ファーストテンパイの並びシャンポン待ちをあっさりツモ、1300-2600は1600-2900と、打点もそれなりに高い。大介の時間を奪い、城壁はどんどんと高くなっていった。
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リードを持った勝又は、その後の進行にも抜かりはない。東4局、堀がを仕掛けると、
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すかさずマンズのメンツを壊す打。次巡には
と、マンズを切っていない堀に対してアシスト気味に牌を打っていく。勝又にとって最も避けたいのは、親の大介の連荘。その可能性をつぶすには、自分よりも堀に行かせたほうがいい、というシビアな判断だ。
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ツモり四暗刻の1シャンテンだった大介が堀に放銃して、東場が終わる。勝又の思惑通りに、大介には思うようにならないまま、試合が進んでいく。
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南1局には、勝又がとポンしてホンイツのテンパイ、ここでドラ
を切っての
待ちではなく、
のシャンポン待ちとした。
は場に2枚切れ、自分の手牌に1枚あって残りは最大で5枚。一方で
はどちらも自分の手牌以外に見えておらず、残りは最大4枚。シャンポン受けに取ればどちらでアガってもハネ満であり、枚数1枚差と打点1.5倍を比較し、打点をとった形だ。ハネ満をアガれば浅見を逆転してトップ目に立てる、というところもあったかもしれない。
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大介も追いつく。と落としてまで残した孤立の
を重ねてテンパイ。
残しは他の3人が早い巡目で
や
を切っていて、山に残っている可能性が高いと読んだのだろう。
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だが、ここも勝又が勝った。そしてそのアガリは、粘ろうとする大介に引導を渡すかのような一撃だった。ホンイツドラドラの6000オール、浅見を逆転して再びトップ目に浮上。こうなった勝又がそうそう崩れないのは、Mリーグを見ている人であればご承知のはず。
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控え室にいた菅原千瑛と中田花奈は、その光景をモニター越しに見て、思わずがっくりと頭を下げた。
そのアガリの意味を、彼女たちは痛いほど分かっている。