熱論!Mリーグ【Tue】
吹きすさぶ大嵐!
パイレーツ船長
小林剛に学ぶ大嵐の凌ぎ方
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2019年11月12日
本日火曜日の2戦目は大嵐が吹く展開となった。
沢崎誠選手が92100点という、Mリーグレコードを塗り替える大トップを決めたのだ。
東場の親番では7本場まで積み、一回の親番で43300点を加点した。
さて、瀬戸熊直樹選手のクマクマタイム、勝又健志選手のアザラッシュ、白鳥翔選手の翔タイムなど、Mリーガーの大連荘には特別な呼称が付き物だ。
(沢崎選手のはどんなのがいいかなぁ。沢沢タイム(ざわざわたいむ)とかどうかなぁ。)
などと一視聴者としては非常に楽しく観戦した今半荘だったが、これを実際に食らった同卓者3人はたまったものではないだろう。
皆さんも麻雀をしていれば何度も経験があるのではないだろうか?何をやっても上手く行かない時間帯。
そういう時の凌ぎが上手いのも強者の素質の一つだと私は思うのだが、そういう意味ではこの半荘、確かな実力を発揮したのがこの選手だ。
大荒れだったこの半荘を見事2着でゴールした小林は、やはり随所に素晴らしい選択を見せていた。
船長小林の大嵐の凌ぎ方に今週は迫っていこう。
【東2局2本場】
東1局の沢崎の1000/2000ツモ、そして親番での2回のテンパイ連荘で差が開き始めたこの局。
さながら嵐の前の静けさといったところだろうか。
小林は4巡目でタンヤオのイーシャンテン。ここは……
打で安全牌のを残した。
供託が2本落ちており、タンヤオで目一杯に行きたいところだが、上家の魚谷が役牌の、と切り出している。
どちらも対子落としではないにせよ、ある程度形がまとまっていると考えていいだろう。そこまでタンヤオの受けが広がらない牌を残すよりは、安全度を取った形だ。
魚谷から出たをポンしてテンパイ。待ちこそドラのカンと、あまりよくないものの打点が伴っている。
しかしここは沢崎のダマテンの平和・ツモ・ドラドラ・赤、4000オールのツモ。
これで大きく点差が付いてしまったが、昨年よりMリーグという大海原を渡ってきた船長小林にしてみれば、まだまだ小さな海風程度。トップという新天地は諦めない。
しかし……
東2局4本場、テンパイ連荘で繋いだ沢崎のこの6000オールツモは、早くも半荘を決定づけるにふさわしいアガリと言っていいだろう。
これで沢崎は70000点を超えたトップ目。しかもこうなってしまうと着順落ちのリスクがかなり少ないため、沢崎が強気の押しをしてくることは目に見えている。まさに生きた大嵐だ。
さらに沢崎のアガリが全てツモアガリのため、2着以下が非常に競っている。各家、自分のアガリもほしいが、大嵐「サワザキ」に巻き込まれてしまったら、一気に取り返しのつかないラス落ちまであり得る。繊細な舵取りが要求される半荘になった。
【東2局6本場】
沢崎がダブポンから仕掛けはじめてこの迫力ある河。
沢崎の上家である小林もドラ・赤こそないもののこのイーシャンテン。ここは打として大嵐・沢崎に切り込む構えを見せる。
これに沢崎がカンの形でチー。攻めの手を緩めない。
次巡に小林がテンパイ!!……しかし、これは1枚切れの役無しカン待ち。
良形テンパイを狙うならを切ってのイーシャンテン戻しもありそうだ。船長小林の選択は……
を切ってダマテンとした。イーシャンテン戻しの際に切ることになりそうな
→や→が下家の沢崎にきつそうなのはもちろんのこと、注目したいのは沢崎の河である。
とターツを手出しした後にを切っている。
ピンズのホンイツに一直線に向かっているのであれば、安全度が比較的マシなを残して先にを切るはずだ。そうしなかったということは、沢崎の手に周りが持たれていてもおかしくない。
改めて小林の手を見ると、イーシャンテン戻しをした時にはまわりのくっつきが本線ということになる。沢崎の手に周りが使われていると考えると、あまり期待できないくっつきではないだろうか。
そして、沢崎がピンズでないならば……
こういったツモにも期待できる!
これで良形のピンフ、テンパイ!
ここはリーチに踏み切った。ピンフのみとはいえ先制リーチであり、僅差のラス目であるが故に打点上昇が偉いという考えだろう。