このテンパイ。沢崎はどうするかなと思う間もなくを切ってヤミテンに構えた。
次の巡目…
をツモり、なるほどここで切りか、と思った。
ドラ
こう構えておけばツモでピンフ、少しずれてツモときてもイーペーコーやドラで打点が上昇する。
これがいわゆる麻雀の基本…だ。
ふと
(基本はあくまでも基本。ワシの麻雀は…)
という沢崎の声が聞こえた気がした。
相手を押さえつけることじゃ!と言わんばかりの手出し切りリーチ!
たしかに手変わりは豊富だ。だが既にが待ち頃なのだからそれを活かさない手はない、という判断だろう。
そういう意味で空切りリーチはの出を最大限高めるための牌とも言える。
手替わり枚数や打点上昇は計算できる。しかしリーチによる押さえつけ効果はなかなか数字にできない。いくら「親のリーチは魔法の呪文」と教わっても、なかなかこの変化豊富な手牌でリーチに踏み切るのは逆に勇気がいるものだ。
麻雀を知れば知るほどさきほどのポンもこのリーチもできなくなる。
沢崎は飄々としながらも、相手の嫌がることを独特の体感で実行しているのだ!
すぐに多井が追っかけた。
チームのため、Mリーグのため、そして1回戦の松本が責任を感じないためにも…!その思いが多井のモーションに現れている。
結果は
流局に終わった。
東2局1本場。
ダブをポンした沢崎がすかさず…
をチー。私はこれを見てあれっと思った。というのも1巡前まで
このように並べていたからだ。
例えば、この並びのままをチーしてを切ると、ソウズは完成して、マンズの上の方を持っているのかな?と推測されてしまう。
こんなこと、気にするレベルのことではないかもしれないが…
この最強の男はそういう部分まで徹底的に見てくる。
沢崎の麻雀はこういった部分も含めて実戦的なのだ。最年長Mリーガーのはずなのだが、あのポンやあのリーチやこのチーを見ると、その麻雀の若々しさに圧倒される。
いや、経験を多く積んできたからこそ、その引き出しが豊富と言えるのか。
そんなことを考えていたら
沢崎の1人テンパイで流局。
東1局2本場。
連チャンした沢崎は…
親でドラ3という、しっぽがついていたら振ってしまうような配牌を手にする。
沢崎はここから打。
1mmの効率も無駄にしたくないネット勢(さらに略した)は、こういうところが気になるのだと思う。ドラが3枚ある何が何でもアガリたい手牌で、よりもの方が横に伸びる分、圧倒的に使えるからだ。
しかし、沢崎はこの手はピンフかタンヤオか役牌…と決め、それに該当しない牌を削除しただけだろう。沢崎はそういう選択を多々見せる。先週の
ここからのカンが、またしても議論をよんでいた。
どれだけ受け入れが減っているのか、と。
しかし減っているのはリーチのみの受け入れだけである。その一方でカンをすると三暗刻が確定し、ドラが増え、リンシャンツモを見ることができる。
沢崎にとってはリーチのみになるルートを削除しただけだ。
しかしそれにしてもこのが残っている段階でカンをする…という選択はなかなかしづらいだけに、本当に素晴らしいと思う。
このカンからマンガンをツモったときと、
さきほどの手を4000オールに仕上げた沢崎の姿がデジャブーする。