ヒートアップする序盤戦!
強気な黒沢と
巧みな多井、
チームにプラスを
持ち帰ることができたのは…。
文・江嵜晋之介【火曜担当ライター】2021年11月2日
11月2日、開幕から約1ヶ月が過ぎたMリーグ2021シーズンは18日目を迎えた。まだまだ序盤だと言われてきた今シーズンも、レギュラーシーズンの5分の1を消化したことになる。
Mリーグの1試合あたりの平均局数は約12局。
レギュラーシーズンを1回の半荘で例えるとするなら、5分の1を消化した現在は東2局1本場に入ったくらいだろうか。
第1回戦が終わった時点でのトータルポイントがこちら。
首位の風林火山と最下位のドリブンズ以外は、1試合ごとに順位が変わるくらいの接戦が続いている。
まだ序盤ではあるものの、7位・8位のままでは後半戦にきつい条件戦を強いられる可能性がある。ここはポイントを稼ぎ混戦から抜け出してチームの順位を安定させたいところだろう。
第2回戦
東家:近藤誠一(セガサミーフェニックス)
南家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
西家:勝又健志(EX風林火山)
北家:黒沢咲(TEAM RAIDEN/雷電)
東1局
黒沢にチャンス手が入る。
カンチャンから埋まり嬉しいイーシャンテン。
黒沢は好形を残すを選択する。
ドラのを一枚切ることになる可能性が高いが、平和ドラ赤が確定するため打点的な問題はない。当然の一打だ。
だが無情にも、先に引いてきたのはだった。
もし仮にではなく一盃口を狙う打としていれば、を一発でツモり倍満のアガりになっていた可能性が高い。
しかし可能性があったとしても選べるかどうかはまた別の問題だ。
点数的な条件がある場面ならまだしも、東1局では恐らくほとんどの人がを選択するのではないだろうか。
黒沢はこれまでも数々の「強気な選択」で奇跡のようなアガりを見せてくれている。その黒沢が選択しないならば恐らく誰も選べない未来のように思える。
今回も苦しい展開が続くかと思われた黒沢。
しかしその後は続々と手が入る。
東2局1本場では1,000、2000をツモ。
南2局ではリーチのみを一発でツモり裏ドラを乗せ満貫に仕上げる。
この2回のアガリを成功させ、黒沢はトップが狙える好位置につける。
そんな中、展開に恵まれないのは多井だった。
東場は何度かリーチをかけるもアガりは0回。南1局では単騎のダマ跳満を入れていた勝又に放銃してしまう。
痛恨の放銃となってしまったが、自身の手がイーシャンテンでリーチもかかっていないこの状況では止まりようがない牌だ。
(勝又の序盤の切り順が→となっており七対子の場合は赤入りのため切り順が逆、さらに待ち頃の・がツモ切られていることから七対子に見えにくくなっている)
そして南2局の親番では黒沢の満貫ツモが炸裂し、
南3局に入った時点で多井は7,500点のラス目となってしまう。
3着の近藤との点差も13,800点と満貫ツモでも届かない。多井の4着はほぼ確実かに思えた。
だがMリーグ通算成績圧倒的1位の多井がこのまま終わるはずなかった。
南3局
2巡目、多井はこの牌姿から打とする。
5ブロックの中からカンチャンを払う選択。
七対子を本線としつつ、字牌が重なったら混一色も狙える一打だ。
そして次順、を重ね混一色を見切る打を選択。
手役を七対子に絞り込む。