白き鳳凰は飛翔する、
その翼にすべてを
背負って夢の果てへ。
文・渡邉浩史郎【火曜臨時ライター】2025年2月4日
第1試合
東家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
南家:鈴木大介(BEAST X)
西家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
北家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
その男にとって、Mリーグとは夢の始まりであった。
「選ばれる確率は50%。でも選ばれなかったとしたら、麻雀業界は終わり」
当時から若手の最前線を走っていた男は、その後ろに続く新たな若手に対して夢を見せたかった。
その男にとって、Mリーグは地獄の始まりでもあった。
2018シーズンの成績は-313.8pt、個人スコアは最下位。
一番注目を浴びた初年度のこの結果だけで、その男は色眼鏡で見られることになる。
「白鳥はうまぶっている」
今のようにyoutubeでの牌譜検討も行われていなかった時代。裏にどんなに深い思考があろうとも。結果を残せなかったものに世間は冷たかった。
彼はめげなかった。自らの打牌意図について、誰よりもSNSでの発信を行い、自らの強さのためならと相手のフィールドにも飛び込んでいった。そして結果で実力を見せつけた。
それから月日は流れた。
そして今、誰よりも水面下でもがく姿を見せ続けた男。
鳳凰の名を背負った一羽の白鳥が、卓上に舞い降りた。
【東2局】
渋川のマンガンツモから始まってのこの局。七対子のイーシャンテンだった白鳥がドラを引いて面子を完成させる。5対子1メンツの難しい形だが……
白鳥の選択は七対子を壊す打。赤赤ドラと打点十分での対子以外はタンヤオでまとまっているため、そこを落として仕掛けられるメンツ手へと舵を切った。
その予定通り、渋川から出たから発進した。
4557の形から3を鳴くというのは抵抗があるかもしれないが、今回河を見るとソウズが悪くない。一度を切っていてホンイツ模様の渋川は切ってくれるし、待ちになった時にも大介や元太からは盲点に見えるカンのため、この形からでも仕掛けていく。
自ら引き入れての聴牌はシャンポンながらの方が山に二枚。
ここまでは順調であったが……
飛んできたのは親の大介のリーチ。渋川のポンの余ったっぽいホンイツの二人に囲まれる。
ここで白鳥は現物のも切れるところ、筋のを切った。
注目したのは渋川の河。中張牌バラ切りのあとに字牌、マンズ、そしてソウズの両面落とし。まあ大体マンズのホンイツだろうと言った河である。
しかし白鳥は一つ気になっていた。それは渋川のの切り順である。
普通両方いらないのであれば、二筋にかかる危険度の高いを先に切るはずである。
河を見ても明確に危険度の差がないので、やはり→になっているのが普通だ。
そこで白鳥はソウズが何らかの関連しているパターンを考えて、渋川にが当たり得ると判断。それよりも切り順で大介に当たりにくいの方が渋川にも安全と考えてこの選択になったのだ。
実際は渋川にソウズのターツはなく……
大介の入り目はであった。
これは二人の河を使った化かし合いが素晴らしいと褒めるべきであるが、初年度の白鳥はこのあたりの歯車がうまくかみ合わず放銃に回り、結果としてうまぶっているという烙印を押されてしまった。
このマンガン聴牌からの降りもそう。渋川の手を8割以上ホンイツと読んでいるからこそ、こんなマンズの無筋、いくら自分の手がマンガンでも捲り合いに値しない。
そんな上空から卓を見据える一羽のスワンであったが、南場までは傍観者。親番での勝負手リーチは目下のラス争いの相手、元太に躱されるという最悪の事態で親が落ちる。
そして迎えた【南2局】、事件は起きる。
3巡目、イーシャンテンの元太がをカンすると……