石橋伸洋劇場・第2幕~南場を支配する熱いデジタル~【熱論!Mリーグ】担当記者:真中彰司

「うーむダメだなこれ!撤収!」

手数は多いが、なかなか反撃のチャンスが巡ってこない。

我慢の展開が続く中、親番で石橋はついに好配牌を手に入れる。

と払って字牌の重なりを狙う手もあったが、なおもストレートに打とした。

この手はなるべくなら鳴きたくない!

と、そこに上家の松本からが飛び出してきた。

「チー!」

なら話は別、飛びつかずには居られない。

そもそもが出てくるということは、手の内にドラのを持っている可能性が高い。

なおかつ、打ち出してきた人の手はかなり早そうなのだ。

こちらも速度を上げていかなければ、親番を流されてしまう。

しかしまたも高宮からリーチ!

そして、沢崎からもツモ切りリーチが入ってしまう。

そこに引かされたのは、血のにじむような

「また撤退かよ

虚無感が漂う目をしている。このあと再度テンパイするのだが、横移動であえなく親番が終了。

東場は常に点棒を払いっぱなしの石橋だった。

南場

再びラス目で迎えた南場。しかし、さっきまでとは流れが違った。ドラドラのチャンス手をもらう。

そしてサクサク両面が埋まり、スムーズに先制リーチ。

「これは行ける南場は俺の時間だ!」

すぐに松本から追っかけリーチを喰らうも…

高宮の鳴きで流れたが松本の手に滑り込んだ。これを討ち取り、裏も乗って8000点。

心なしか、東4局に比べると顔の輝きが全然違う。自信に満ち溢れた表情をしている。

我慢に我慢を重ねて迎えたオーラスの親番。

期待を込めて開けた配牌は…あまり良いものではない。

しかし、戦いは僅差も僅差。降りるわけにはいかないのだ。

東場とは引きが全然違う。面白いように手がまとまっていく。

下家の沢崎がをポンしており、絞ろうか迷う局面だが…

「ここは俺の時間。邪魔はさせない!」

あくまでストレートに、そして強気に切り。

石橋と言えば「黒いデジタル」といった相手の心理の裏を突く戦術が得意だったが、セミファイナルでは封印しているように見える。

小細工無しの一発勝負。それもまた、石橋のスタイルだったのかもしれない。

そして8巡目、ついにテンパイ!

卓上に響くほどを叩き付け、単騎でリーチに踏み切った。

しかし、親リーチといっても簡単には逃がしてくれない。

カン待ちの沢崎がマムシのごとく喰らいついてくる。

まずは無筋の

を切った石橋も、まるで熱いヤカンに触れたときのように手をビクビクさせている。

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