
「ちょ、沢崎さん来てるじゃん…ヤバい!」

「そう簡単には逃がさないぞ、石橋くん」

沢崎はなおも無筋のを強打。

対する石橋は、沢崎に危ないをおそるおそるツモ切る。

「そっちじゃないよ!隣のが欲しいんだよ!てか沢崎さんに危ないし!」

石橋といえば、どこか理知的でクール、そして腹黒いイメージだった。
その選手が、腹黒さも冷静さも捨て、感情を剥き出しにして熱く闘牌している。
もはや「黒いデジタル」ではなく、「熱いデジタル」になっている。

結局、この局は流局。石橋の反撃もここまでか…

メモを閉じようとした矢先に飛び込んできたのは、鬼のような好配牌。
を鳴くか否か。その場合染めるか否か。判断に迷う配牌だ。

石橋の第1打はだった。

そして3巡目には単騎でリーチ!

「七対子だってバレてもいい…この単騎に賭ける!」
放銃・撤退の荒波を乗り越え、腹を括った表情だ。

そこに松本がを暗槓。出アガリでもトップに届く手を作ってきた。

なんと新ドラは!!
松本もレギュラーシーズンの鬱憤を晴らしたくてウズウズしている選手。
猛然と向かってくる。

そして、沢崎は石橋の手を七対子と読みきっているのか、を打たない。

「まだだ…俺のは必ず山に居るはず!!」
朝倉の無念を、そしてパイレーツファンの願いを背負って。
その男は、静かにツモ山に手を伸ばした。

「…ツモ!!」
まさに起死回生。東場のラス目から大逆転のツモ。
なんなんだこの選手は。南場に強すぎる。

そしてカン裏も乗せて6000オールとなり、勝負あり。

解説の渋川南場…いや難波プロもビックリの逆転劇で、石橋がセミファイナル2勝目を挙げた。

東場の劣勢から南場で一気に追い上げる、これぞ「石橋劇場」。
「次回もぜひお楽しみに!でもそろそろ東場でもアガリが欲しいな…笑」
