勝又健志、執念の6,400!
〜「明るく楽しい生存競争」
の幕開け
文・千嶋辰治【金曜担当ライター】2024年1月26日
セミファイナルシリーズ進出をかけたボーダー争いは激化していて、第1試合を終えた時点で状況は以下のとおり。
「選手入れ替え規定」に抵触するかどうか… という観点は、今シーズンにおいてはほぼ考えなくても良くなった(対象はU-NEXT PiratesとKADOKAWAサクラナイツで、両チームともご覧の状況)。
だから、セミファイナル進出争いは例年のように悲壮感漂うそれではない。
今年はその胸騒ぎに心を乱されることなく、純粋にカットラインを巡る攻防を眺めていられそうだ。
レギュラーシーズンの戦いも、早くも1/3ほどを残すのみとなり、いよいよ終盤戦に突入。
セミファイナルに向けて、「明るく楽しい生存競争」の火蓋が切って落とされる。
第2試合
東家:松本吉弘(渋谷ABEMAS)
南家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:勝又健志(EX風林火山)
北家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
カットライン付近に位置するABEMASと風林火山。
特に風林火山はズルズルと死地に引き込まれている感があり、嫌なムードを断ち切りたいところ。
そんな風林火山、第2試合を任された勝又にチャンスが訪れた。
東1局1本場。
ドラ入り、赤入りメンツがそれぞれ完成済みの好配牌。
第1ツモで雀頭が出来てイーシャンテン。
速さに打点も兼ね備えた「爆弾」が入った。
しかし、早いのは一人ではない。
下家の優もご覧のとおりのイーシャンテン。
愚形ターツが2つ残っている形。ペンチャン待ちが含まれていないため、仕掛けと和了が現実的な手格好だが、如何せん「安い」ので、仕掛けるかどうかは好みが分かれそう。
まずは、勝又の手順を追う。
ご覧のとおり、オーソドックスに受けが広くなる方へ歩みを進めた。
何の問題もないように見える。
が、皆さんはお気づきになることはないだろうか?
「なぜ、テンパイしないのか?」
受けが広くなることは結構なことかも知れないが、イーシャンテンの滞空時間の長さに一抹の不安を覚えてしまうのは私だけだろうか?
こんな経験はないだろうか。
ビンゴカードにたくさん穴が開いているのに、何故かビンゴしないという現象。
ダブル、トリプル… とリーチの本数だけは増えていくのに、決め手となる番号がやってこない。
挙句、たくさんの人に追い抜かれて、最終的には何の賞品ももらえず終わってしまうという寂しい結末。
「運気が低い」
という、不確かなものを拠り所にするのはご法度かもしれないが、今日の勝又のことを説明するために、この言葉よりもフィットするものを見つけられなかった。
4巡目にソウズの好形を意識し、当然の手順で河に放った。
これにがくっついてファーストテンパイを入れ損なってしまうのも、運気の低さが成せる業だろうか。
やむなく河に置かれた。
これを優は見逃さなかった。
巡目が早いということで、様子見で声が出ない打ち手もいるだろう。
もしも優がその打ち手だった場合、このゲームは勝又の独壇場になっていたかもしれない。
電光石火の和了で勝又の勝負手に冷や水を浴びせた優。
この和了りが影響したのか、場は小さな点数のやり取りで進む。
迎えた南2局。
ポイント状況はご覧のとおり。