応えてくれない牌
──それでも進む、逢川恵夢──
文・小林正和【金曜担当ライター】2026年2月6日
急いで駆け上がった階段。
(間に合ったかな…)
でも、指先ひとつ届かないまま閉まってしまう電車のドア。時計を見ると、なぜか発車時刻よりも数秒早い。
(なんで今日に限って…)
あるいは、喉が乾いて自販機の前に立ち、お気に入りの飲み物のボタンを迷いなく押す。でも、落ちてきたのは、まったく別の缶だ。
(もう!なんでなの?)
日常には、ときどき“想いに応えてくれない瞬間”というやつが、平然と紛れ込んでくる。
こちらの願いなんて、どこ吹く風と言わんばかりに。
そして麻雀も、まさにその延長線上にある。
押しても、押しても、応えてくれない日があるのだ──。
第2試合
東家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
南家:中田花奈(BEAST X)
西家:逢川恵夢(EARTH JETS)
北家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
寄り添う牌──瀬戸熊が見せた「見せない」技──
昨日の連敗。
控室ですれ違った、あの悔しさを噛みしめる仲間の横顔。
そして、今日の一戦目。
チームメイトが、先に一勝を届けてくれた。
(よし。次は、自分が頑張らないと。)
こんなカン
待ちや
場に2枚切れの
単騎待ち。
人が人ならば、少なからず迷う場面だ。
それでも、指先に力を込めて「リーチ」と告げると
その想いに、そっと寄り添ってくれた。
この試合。牌が応えてくれたのは
瀬戸熊の方だった。
そして、巧みな技も際立つ。
東3局
4枚目の
をツモったシーン。
さて、どうする。
1 シンプルにアンカンとし、リンシャン牌によるツモ回数アップや新ドラに期待する。
2 カン
の受け入れも残しながら、789の三色を強く見て
切りとする構え。
といった選択があったが
ここでは、第③の道。そのまま静かにツモ切りとした。
こうする事で、七対子ルートをキープ。それが手牌構成上での強みだ。
更に、もう一つのメリットが存在する。それは、「相手に情報を与えない事」。
こちらは逢川の手番。
槓子から切られた
の存在など知る由もない。打
とし、![]()
のターツ固定とする。
がフリテンであり、バランスから見れば自然で穏当な選択だろう。













