6月30日、Mリーグ2025-26シーズンのドラフト会議が行われ、KADOKAWAサクラナイツは阿久津翔太を指名し、交渉権を獲得した。ドラフト会議終了後には森井巧監督が、EX風林火山に加入した内川幸太郎への思いや阿久津を指名した理由など、メディアからの質問に答えた。
-EX風林火山が内川選手を指名しましたが、名前が出たときの感想は。
「契約満了を伝えた僕が言うのもなんですけど、すごくうれしい気持ちが本当に8割、9割でした。そこに1割、2割は『負けたくないな』という気持ちが入り混ざったような心境だったので、難しい感情ではあったんですけれども、一番多くを占めたのはもちろん『良かったな』という気持ちでした」
-二階堂亜樹監督も、積極的にサクラナイツに当てていこうという話をされていましたが。
「内川選手を契約満了したときから、他のチームが内川選手を獲得する可能性は当然あると想定、覚悟をしていました。僕らとしては負けないように精一杯戦いますし、Mリーグ全体がその対決を盛り上がって見ていただけたらうれしいなと思うので、全力で勝ちに行きたいと思っています」
-内川さんに代わる形で指名をされたのが阿久津さんになります。唯一、20代のMリーガーになると思いますが、どんなことを期待しますか。
「一番はおっしゃった通り『若い』というところで、若いにもかかわらず現時点でも非常に実力を兼ね備えているところが大きいかな、と思っています。既に所属団体の日本プロ麻雀連盟では最年少A1リーガーというところでもありますし、サクラナイツの練習会にも来ていただいていますけど、非常にレベルが高いと思っていますので、その点が一番大きいところです。
もう一つは、非常に麻雀に真摯に向き合っているところを高く評価しています。リーグ戦の自身の牌譜を自分で作って配信をして、何人見ているとか関係なく、自分の麻雀とすごく向き合っている姿勢みたいなところには僕はすごく好感を持っていて、そういった点を評価したというところです。Mリーグでも若いというところで、もちろん実力者でありつつ、成長性もすごくあるんじゃないかと思っています。Mリーガーとしての責任と自覚、本人は非常にプレッシャーに感じている部分もあると思うんですけれど、とはいえそのプレッシャーを力に変えられる選手だと、僕は練習会の言動とか配信などいろいろなものを見て総合的に判断したところがありますので、ぜひそのプレッシャーを力に変えて、Mリーグの舞台で発揮していただきたいな、と思っています。
-20代の選手を入れて成長というと、岡田さんは昨シーズン不調でしたけど、毎年レベルアップしていました。堀さんや渋川さんにしろ、若い選手をレクチャーして育てる環境もあると思いますが。
「これからも練習会はずっと続けていくでしょうし、サクラナイツはMリーグの中で成長を続けるチームというふうに、ファンの方やMリーグの視聴者の方々に思ってほしいという思いと、Mリーグは若い視聴者が非常に多いと思っていて、過去の実績などがまだまだ浅くても、麻雀に常に真摯に向き合うとか、そういった発信をするとか、諸々含めてみんなが見ている、そういうふうに見ているチーム関係者もいると思って、視聴者の方に若い人が活躍するところを見ていただきたいです。麻雀プロの若い方々も、そういった意味で切磋琢磨していただけたらなと思っています。いろいろなメッセージを込めた今回のドラフトとなっているかなと思っています」
-阿久津選手の指名に対する選手の反応については。
「候補者の一人という形で言っているので、阿久津選手にのみ特別なコメントをいただいていたというわけではないので分からないですけど、これから聞いてみたいと思っています」
-新たなメンバーとなり、目標はいかがですか。
「僕らは立ち上げ当初から常に『トップ4を目指すチーム』だと言っていました。これは優勝を目指していないとかではなく、まずはファイナルに立つことが非常に重要なレギュレーションになっているので、まずはトップ4に入らないと優勝する権利すら得られないというところで、特に今シーズンは初めてレギュラーシーズンで敗退して、本当に長い時間を過ごしていたというか、キツかったと思っているので、こういう思いを二度とファンの方々にも味わってほしくない、という思いがすごく強いです。なので今回は非常に大きな決断をして、チームを前に進めることを決めました。これは本当に僕の決断、決心、そして覚悟というのをサクラナイツのファンの皆様に改めてお伝えしつつ、来シーズンのサクラナイツにぜひ期待していただきたいな、と思っています」
-サクラナイツはバラエティ的にも『ホリシブコンビ』とかあるチームだと思いますが、阿久津さんはどんなキャラクターだと思っていますか。
「現状だと真面目で真摯なキャラクター、みたいなところがあると思いますけど、堀選手も加入当初は正直、とっつきにくいキャラクターみたいにみなさん思っていたと思うんですよ。でも、入ってみていろいろなことをやっていく中でそういう個性がどんどん見えてきて、というところがあったので、現状だとまだどんな感じでやっていくのかは分からないですけど、サクラナイツのいろいろな企画にも馴染むどころか、いろいろな新しい個性を発揮していただけるんじゃないかな、と期待しています」
-チームのドラフト1位、リーダーといっていいような内川選手がいなくなって最年少のMリーガーが入ってきたわけですけれども、チームとして『この人にまとめてほしい』というところについては。
「できるかどうかは分からないですけど、そこの立ち位置になるのが堀選手になるかなと。チーム最年長というところももちろんありますけど、僕は堀選手がチームに入って、とてもチームを思いやることがすごく大きい選手だなと、彼の言葉や発信からを感じています。
リーダーにはいろいろなリーダーがいると思うんですね。前からどんどん引っ張っていくタイプのリーダーとか、内川選手は心優しき、包み込むようなリーダーというところがあったのですが、与えられた環境になったときに、そのときに合わせたリーダーというのが出てくると僕は思っています。なので、初めから『リーダーはこの人』みたいな形でリーダーポジションを与えるということも大事だと思うんですけれど、そういったチームの積み上げの中で生まれてきた形で、堀選手がどういう形でチームをまとめていくのか、僕自身すごく楽しみにしているところもありますし、逆にリーダーがいなくてもまとまっていく集団になる可能性ももちろんあります。堀さんが頼りないから自分たちが、みたいな形になるかもしれませんし、それも含めてチームは常に流動的というか、生き物だと思っているところがあるので、そのときの最適なチームになればいいんじゃないかな、と思っています」
-雰囲気がガラッと変わる可能性もあるのですね。
「とはいえ、メンバー3人は変わらないですし、これまで沢崎選手、内川選手がいてくださった柔らかい雰囲気、サクラナイツとしてそういった空気感みたいなものは、今後も続いていくような気がします。いいところを継承しつつ、新しく平均年齢が非常に若いチームになったというところの勢いみたいな部分と明るさみたいなものをどんどん発信していきたいかな、と思っています」
-阿久津選手を指名するにあたって、選手の意見はどのくらい聞いていたのでしょうか。また、阿久津選手を推す声はどのくらいあったのでしょうか。
「決断は全て僕がしているところはありますが、どんな選手いるかをヒアリングをすることは、これはもうドラフトとか関係なく常にリサーチしています。それは、何が起こるかわからない、過去には沢崎選手のご病気だったりとか、いろいろなことに備えていなければならないのが僕の立場で、それはチームを思いやっていないとか、現状維持でいいじゃないか、みたいに思われる方もいらっしゃるかもしれないですけど、マネジメントの仕事というのはそういった何かしらあった危機、危険みたいなものに対して前もっていろいろな対策みたいなものを取っておかなければいけない立場です。メンタル面と実際にやらなければいけないことのバランスはすごく難しい部分ではあるかなと思いますけれども、とはいえ常に強い選手を探し続けること自体は、僕としては悪いことではないですし、常に選手に話を聞く、みたいなことをやっているので、そういった意味で言うと、阿久津選手はポジティブな印象だと感じていました」
-良くも悪くもサクラナイツで一番見られた映像といえば、内川さんの四暗刻単騎放銃の瞬間だったと思いますが、広報的な役割だった選手がいなくなった一面をどう受け止めているのでしょうか。
「麻雀は本当に、確率の低いことが起こり続けるゲームと小林剛選手が言っていて、今後もそういったことは起こり得ると思います。チームのアイコンである西放銃みたいなものは内川選手が移籍したことによってなくなるかもしれませんけど、また新たな、それこそ岡田選手の国士無双十三面待ちみたいなことが起こり得るかもしれませんし、何よりも見てほしいのは、その場その瞬間の印象的な切り抜きもあるんですけど、やっぱり僕は人間ドラマと、そしてこの1年、シーズンを通した意味でのチームの成長だったりとか、そういったドラマ性のあるものがMリーグの良さだと思っているので、このライブエンターテインメント全体を、ファンの人には楽しんでほしいなと思っています」