最後は自分らしく
文・小林正和【火曜担当ライター】2024年3月27日
6年目に突入したMリーグ。
初年度から追っていくと、チーム数の増加もありレギュラー試合数は80から90、そして94から今年に至っては96試合という変遷を辿っている。
そして、初の9チーム編成となった2023-24シーズン。
どのチームよりも先にその過去最多となった96試合目・最終戦を迎えるチームが存在した。
それは
TEAM RAIDEN / 雷電
である。
雷電にとって、セミファイナル進出ボーダーはちょうど+310ポイント。数字に置き換えると290,000点のトップ分に相当する。
無限の可能性を秘めたとは言え、麻雀の性質を知る者なら極めて困難な条件であると察するだろう。
(モチーフである稲妻がMリーグスタジオに落雷し、電光掲示板の順位表に誤作動を与えてくれたらな…)
そんな天文学的な現象にも期待したくなるような境地。
それでも多くのサポーターが“プレミアムナイト”のパブリック会場に集結し、最後の1牌が放たれるまで声援を送り続けるのであった。
冷めやらぬどころか、まだまだ大きくなる熱量…
その原動力の源は…
本田が
“夢”を。
「俺がここで暗い顔して、ごめんとか、すいませんとか言った所で皆んなの明日が楽しくなる訳ではないんで。うん、今日も応援してくれて本当にありがとう。残り2試合まぁここまで応援してくれたんだから、ついでに最後まで応援してください。はい、ありがとうございました!」
萩原が
“魂”を。
瀬戸熊が
“希望”を応援してくれるユニバースの心へ注いでいる事に他ならない。
そして繋がれた最後のバトンを託されたのは
直近までMリーグ最高得点の記録を持ち、誰しもが期待する選手。
その名は
“黒沢 咲”
確率論を超えた景色を咲かせる為に、静かに瞳を閉じていた。
第2試合
東家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
南家:猿川真寿(BEAST Japanext)
西家:黒沢咲(TEAM RAIDEN / 雷電)
北家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
しかしこの半荘、スタッツ的に雷電の望みを打ち砕くようなパーフェクトゲームを見せたのは茅森であった。
アガリ5回に対して放銃は0回という圧巻な数字。
「チーム4人の中でも今シーズン今日が一番、手が入りました。遅い!(笑)。」
と珍しく本音を漏らす。
確かにドラが比較的集まり効果的なアガリも多かったが、細かな選択も光っていた。
例えば東3局1本場
アガリに対して自身の手牌が周りに追いついてないと見極めると、親に対して危険になりそうな切りのターツ壊し。
受けの七対子に舵を取り、守りの準備に入ったタイミングで