拝跪せよ、我が名は
淑女なベルセルク!
~ 異能の戦士、
高宮まりの完全なる半荘~
文・カイエ【火曜担当ライター】2025年10月7日
Mリーグという舞台は、短期の成績でイメージが決まるので大変だ。
勝ちが続けば上振れ、負けが込めば下振れ。いくらポイントを稼いだかという数字で「強い」「弱い」が判断され、それが自身の進退にまで影響する。2年勝っても、次の2年に負ければ、運が悪いとMの舞台を追われてしまうかもしれない。
完全情報ゲームである将棋に対し、麻雀という運要素が介在する不完全情報ゲームにおいて、短期の成績は全く当てにならないとされる。大数の法則が示す通り、確率は収束するからだ。
それでも、麻雀プロは勝たねばならない。
自団体リーグでもMリーグでも、一定のメンバーと一定の試行回数を重ね、成績を競う。
理不尽もある。
奇跡も起こる。
ゆえに、麻雀は面白い。

第2試合
東家:鈴木大介(BEAST X)
南家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:多井隆晴(渋谷ABEMAS)
北家:小林剛(U-NEXT Pirates)
やや平均年齢が高めのメンツとなったこの試合。
個人的な注目は、多井と小林。この2人には共通点がある。


(Mリーグ公式サイトより引用)
ほぼプロ歴も同じで、人気も知名度も高い両者。
Mリーグ発足当時からのオリジナルメンバーであり、ドラフト1位指名選手であり、2021シーズンまでは好成績を誇っていた。Mリーグの、いや麻雀界を代表する「顔」だ。
しかし、ここ3年くらいか、かつての圧倒的な活躍に比べると少々、物足りない結果を残してしまっている。それが原因で、些かその「強さ」に対して、疑問を持たれつつあるのだ。
これまでが上振れだったという者、今がたまたま下振れだという者。
アラフィフになり、心身両面で衰えてきたのだという者、ひとつの時代が終わりつつあるのだとまで言う者。
とかく、世間の声というものは短期の数字とイメージに流されやすい。
多井は終った。コバゴーは終った。
麻雀プロというのは、何とも大変な職業だ。
実際には、多井は前回の試合で快勝し、そうした声に「待った」をかけた。本人も多少は気にしていたようだ。体の不調についての発信も届いている。それだけに、まだまだ「たかちゃん健在なり」を示した結果に、溜飲を下げたファンも少なくないだろう。
小林にしても、Mトーナメント2024に優勝したばかりか、2025でも2年連続で決勝に進むという離れ業をやってのけている。ロボはいつだって変わらない。
東1局

こばごー「ポン・チー・ツモ、500・1000(・ドラ1)」
東2局

ズルゴー「チー・ツモ(ラス牌)、2000・4000(タンヤオ・赤2・ドラ)」
東3局
ロボ「ポン・ロン、1000点(のみ)」
This is こばGOー!
すべて鳴いての、「のみ手」から満貫まで。鳴くべき牌をきっちり鳴いて、3局連続の和了り。
これもまた、曲芸師のような離れ業。
そして陰では、多井や高宮のチャンス手を潰している。
たとえ1000点の手でも、相手の満貫手を潰しての和了りなら、価値は3000点にも10000点にもなる。
らしい和了り。らしい展開。
そうとしか云いようのない、こばごー劇場。往年のズルゴーだ。
だが、今シーズンも近年のMリーグでも、東場はこうした鋭い鳴きで場を制し軽快に局を回すも、南場に大物手に掴まってしまい、コツコツ積み上げてきた点棒が一気に無くなり3着やラスという展開を何度か見てきた「気がする」(印象)。サポーターはまだ安心していない。
そして、早くも罠は訪れた。
東4局
